| 研究概要 |
目的:某ウルトラマラソン大会(例年7月下旬に開催され、1日日にフルマラソン、2日目に登山(標高約1,100m)を含む90kmを走り、2日間で合計約130kmを踏破するレース)参加者を対象にして、有酸素運動実践者の健康度評価、レース中の心身のストレス度評価の研究を行った。
対象と方法:2002年は202名、2003年は186名から、本研究に関するインフォームドコンセントを入手して、大会1ヶ月前に生活習慣・食生活調査票への自己記入を依頼した。大会当日スタート前、1日目のゴールおよび2日目の最終ゴールで身体計測、試料採取などを行った。2004年には名古屋および近郊在住者男25名に対象を絞り、NK細胞活性値、糖・脂質代謝マーカー(インスリン、レプチン、空腹時血糖など)について、大会中および大会後もフォローして時系列分析を行った。
結果:対象者の生活習慣・食生活、身体計測値、ベースライン(スタート前)生体試料分析値は、一般住民より良好な値を示していた。酸化ストレスマーカー(8-OHdG、d-ROMなど)は一日目のゴールで上昇し、2日目のゴールでは低下した。逆に、抗酸化マーカー(尿酸、ビリルビンなど)および筋逸脱酵素(GOT、LDH、CPKなど)は、初日、2日目へと上昇した。
考察:有酸素運動実践者は望ましいライフスタイル・身体計測値に加えて、ベースライン(スタート前)生体試料分析値も一般住民より良好な値を示しており、有酸素運動は健康増進・疾病予防に有益であることが示唆された。酸化ストレスマーカーは初日のゴールで上昇し、2日目のゴールでは低下したことから、抗酸化機構が活性化された。
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