研究課題
基盤研究(B)
溺死を証明するための従来の珪藻プランクトンを検出する壊機法及び我々が開発した植物プランクトン葉緑体関連遺伝子を検出するPCR法は、溺水中にプランクトンが存在することが前提である。プランクトンが少ない又は存在しない水の場合、溺死を証明することは出来ない。そこで、上気道内常在菌が溺水と共に肺から循環血液中への移行すると考えた。まず、解剖検体での気道内常在細菌叢の分布を検討した。その結果、健常人の一般的な常在細菌叢と違いはないこと、気管内常在細菌は死後早期には血中へ移行しないことを確認した。次に、溺死体での細菌の培養同定検査を行った。その結果、溺水に混在する細菌及び上気道内常在細菌が心臓血から検出された。以上の結果から、PCRによる検出法での標的細菌を選択した。口腔内、咽頭に多数常在しているα-Streptococcus属からヒトDNAで増幅のない特異性の高いプライマーを設定した。また、淡水、海水に関わらず溺死体内から検出されたAeromonas属のプライマーも同様に設定した。純培養細菌株から抽出したDNA及びヒトDNAをTemplateにStreptococcus salivariusから設定したSL1、Aeromonas hydrophilaから設定したAH1、AH2のプライマーでPCR増幅した結果、良好な結果が得られた。次いで、ヒトDNA1μgを添加する条件でSL1はS.salivalius DNA 100pgまで、AH1、AH2はA.hydrophila DNA 1pgまで検出可能であった。今後、上気道内常在菌に対するプライマーを増やし、また、標的細菌の分離抽出法の改良を行い、実務に応用できる検査法を確立する。
すべて 2003
すべて 雑誌論文 (4件)
Legal medicine 5・Suppl.1
ページ: 142-144
Medicine, science, and the law 43・1
ページ: 23-30
Legal Medicine. 5
Med., Sci. and Law 43