研究概要 |
健常対照者および炎症性腸疾患である潰瘍性大腸炎患者とクローン病患者の小腸粘膜上皮細胞におけるalpha-defensin(HD-5,HD-6)およびToll様受容体遺伝子発現を検討した。インフォームド・コンセントの下に得た腸管切除手術材料および内視鏡的腸管生検材料からわれわれの既報に準じて腸管粘膜の陰窩(crypt)および絨毛(villus)を単離し、total RNAを抽出後にRT-PCR法でalpha-defensin(HD-5,HD-6)遺伝子発現を解析した。健常対照者、潰瘍性大腸炎患者およびクローン病患者から得た単離小腸陰窩において、いずれもalpha-defensin遺伝子が発現していた。抗alpha-defensin抗体を用いた免疫組織化学的検討により、パネート細胞におけるHD-5の発現を確認した。同様にして、自然免疫受容体であるToll様受容体(TLR)の発現を検討した結果、単離小腸陰窩レベルにおけるTLR遺伝子発現を認めた。 健常対照者と炎症性腸疾患患者の腸粘膜上皮細胞から分泌される殺菌活性を解析し、alpha-defensin familyまたはcathelicidin family peptidesを分離するために、われわれの既報によりパネート細胞顆粒蛋白を抽出した。また、ex vivo細菌曝露によるパネート細胞分泌物を回収した。さらに、HPLCを用いて、顆粒および分泌物から抗殺菌活性を有する分画を分離した。現在、目的のペプチドを、抗菌活性,電気泳動移動度、ペプチド一次構造解析およびWestern blot法等によって検出、解析を進めている。
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