研究課題/領域番号 |
15390228
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
丸山 稔之 東京大学, 大学院・医学系研究科, 講師 (30219571)
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研究分担者 |
松本 洋一郎 東京大学, 大学院・医学系研究科, 教授 (60111473)
高木 周 東京大学, 大学院・医学系研究科, 助教授 (30272371)
小池 和彦 東京大学, 大学院・医学系研究科, 教授 (80240703)
南学 正臣 東京大学, 医学部附属病院, 助手 (90311620)
梅村 晋一郎 日立製作所, 中央研究所, 主管研究員
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キーワード | 強力集束超音波発信装置 / マイクロバブル / 腫瘍壊死 / パルミチン酸 / 経門脈的投与 / 焼灼体積 / 肝臓癌モデルrat |
研究概要 |
(1)温度センサつきの強力集束超音波発信装置の開発 発信器の出力及び口径と、焼灼範囲との相関関係を検証した。同時に臨床での使用を考慮してポータブル・タイプの超音波発信装置を開発した。これは、保持者にも安全であり、振動も受けないタイプの発信装置である。さらに焼灼中に、焼灼範囲局所での温度上昇をリアルタイムに計測するため、温度センサつきの超音波発信装置を開発した。さらに、温度計測をin vitroとin vivoの双方で測定可能な装置を開発した。この装置では、焼灼中に0.1秒単位での温度計測が可能であり、マイクロバブルの有無によって、さまざまな時間帯での温度上昇曲線が得られた。これらの検討により、最適な周波数は2MHz、出力は10-20W、至適焦点距離は7-10mm及び至適口径は4cmと決定することが可能となった。 (2)肝臓癌モデルratでの腫瘍凝固壊死条件の検討 肝臓癌モデルratを樹立した。まず、RatにDiethylnitrosamin(発癌誘発剤)を連日投与し、2週間ごとにratに麻酔して、体重測定を行い、エコー機器で発癌の有無をチェックし、約3ヶ月で発癌を認めた。 (3)至適マイクロバブルを用いた肝臓癌モデルratの焼灼実験 マイクロバブルには、内部気体の種類・マイクロバブルを覆う膜の種類の違い等により、様々な種類のものがある。そこで、様々な種類のマイクロバブルを用いて焼灼実験を行い、腫瘍壊死に最適なマイクロバブルについて検討したところ、1つのマイクロバブル(パルミチン酸含有)がきわめて高度の発生熱量増大作用があることを確認した。このマイクロバブルを用いて、投与濃度の比較、投与ルートの比較を行った。投与濃度としては、300ng/ml、投与ルートとしては経門脈的投与で良好な焼灼体積が得られた。マイクロバブルの有無で比較すると、マイクロバブル有の条件で4.6倍の焼灼体積増加が確認できた。肝臓癌モデルratにマイクロバブルを用いて焼灼実験を行ったところ、焼灼部位の病理組織では、microbubbleの有無では、質的な差は認めなかった。HIFU焦点部位は、implosion cystsと著明な細胞障害があり、その周辺部位にも細胞壁の損失、あるいは、細胞核の消失がみられ、照射部位全体に出血が認められた。
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