研究分担者 |
中村 哲也 東京医科歯科大学, 大学院・医歯学総合研究科, 助手 (70265809)
東 みゆき 東京医科歯科大学, 大学院・医歯学総合研究科, 教授 (90255654)
石川 博通 慶應義塾大学, 医学部, 教授 (20051667)
清野 宏 東京大学, 医科学研究所, 教授 (10271032)
半田 宏 東京工業大学, 大学院・生命理工学フロンティア創造共同研究センター, 教授 (80107432)
|
研究概要 |
本研究は我々の研究組織が独自に見いだした腸管粘膜局所におけるIL-7/IL-7レセプターを介した免疫調節機構の考え方を導入し、未だ解明されていない腸粘膜上皮細胞の由来、粘膜局所リンパ球の増殖・分化機構、上皮細胞と粘膜リンパ球の相互作用等、生体防御機構としてのヒト腸管粘膜免疫を明らかとし、腸管局所免疫調節および組織再生誘導の両者を統合した独自の知見に基づく慢性大腸炎新規治療開発を目指す萌芽的研究であった。当該の2年間、当初計画に沿った研究を遂行し、着実に一定の成果が得られた。その概要は、1)上皮によるIL-7産生が大腸炎発症に関わる可能性を示し、IL-7レセプター高発現リンパ球が慢性大腸炎の治療標的となる可能性を示した(Am J Physiol,2005,in press)。2)腸管上皮細胞における転写因子IRF-1/IRF-2によるIL-7産生機構を初めて示し、IRF機能の人為的制御が慢性大腸炎治療法として有効である可能性を示した(Mol Cell Biol 2004)。3)腸管上皮細胞においてIRF-1が免疫プロテアソーム構成分子発現に関わり、杯細胞に強く発現する事実と併せ、杯細胞が特異な免疫調節機能を担う可能性を示した(FEBS Lett,2005,in press)。4)腸管上皮再生をレスキューする機構として、骨髄由来細胞が特に分泌型上皮細胞(杯細胞など)へ分化する事を新たに見出し、3)の結果とあわせて、今後の上皮再生医療、中でも分化系列特異的再生誘導療法に繋がる知見を得た(Gastroenterology,2005,in press)。以上、本研究の4つのプロジェクトにより、腸管粘膜免疫調節および組織再生誘導の両者を統合した今後の新しい慢性大腸炎・食物アレルギーに対する抑制戦略、腸管再生医療に道を開く意義深い研究成果が得られたと評価される。
|