研究課題/領域番号 |
15390236
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研究種目 |
基盤研究(B)
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研究機関 | 愛知医科大学 |
研究代表者 |
各務 伸一 愛知医科大学, 医学部, 教授 (10115545)
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研究分担者 |
奥村 明彦 愛知医科大学, 医学部, 講師 (70288512)
石川 哲也 愛知医科大学, 医学部, 講師 (10288508)
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キーワード | NKT細胞 / T細胞受容体 / Vα24+T細胞 / C型肝炎 / 肝臓がん / 末梢血リンパ球 / 肝内リンパ球 / αGalCer |
研究概要 |
ナチュラルキラーT(NKT)細胞は、NK細胞マーカーとT細胞受容体(TCR)を併せもつリンパ球で、CD1分子に提示される糖脂質を認識し、自然免疫と獲得免疫を結ぶ重要な細胞である。TCR刺激により機能的に相反するIFNγ,IL4などのサイトカイン産生や細胞障害活性を通し、多くの免疫調節作用を発揮する。しかし、C型慢性肝炎(CH)や肝癌(HCC)におけるNKT細胞の役割は殆ど解明されておらず、治療による動態を含め発現頻度とサイトカイン産生を検討した。 対象は健常人8例、CHとHCCの各10例で、CHはIFN治療前と治療2週目、HCCは治療前とRFAなどの治療後2週目の末梢血単核球(PBMC)を糖脂質であるα galactosylseramide(α GalCer)とIL-2存在下に10日間培養し、NKT細胞の頻度と細胞内IFNγ、IL4産生をナローサイトメトリーにて測定した。CH7例では肝内リンパ球も検討した。 PBMC中のCD3+Vα24+NKT細胞は、健常人では培養前1.0±1.2%が、αGalCer刺激により約10倍に増加した。CHも1.1±0.8%から約15倍増えた。IFN治療2週では培養前で平均3.4%に増加した。HCCは治療前後とも3%前後で健常人より高い傾向を示し、αGalCer刺激にも有意な反応を示した。TCR Vα24+Vβ11+NKT細胞は各群でCD3+Vα24+細胞と同様な傾向を認めた。CD3+CD56+NKT細胞は健常人の6.2±4.3%に対し、CHでは治療前後とも2%台と低値であったが、αGalCerには良好な反応を示した。HCCはαGalCerへの反応が低かった。Vα24+T細胞のIFNγ産生は各群で差はないが、IFN治療後に上昇を示した。IL4産生は健常人に比べ肝疾患群で低かった。CH患者の肝内NKT細胞は、PBMCのそれに比べ高頻度に分布し、肝内での一定の役割が示唆された。 NKT細胞の主な構成細胞は、ヒトではVα24+T細胞であるが、抗原受容体やCD1d分子拘束性などが異なる細胞が含まれる。本研究でも、その多様な構成を反映する所見が示され、NKT細胞の頻度や機能の意義の解釈には慎重を要すると考えられた。
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