研究概要 |
胆膵疾患に関与する遺伝要因として以下の多型について有意の結果をえた。1)CCK-AR(-81A/G,-128G/T)変異とパニック障害、アルコール依存症、肥満、2)adrenalin beta3 receptor(Trp64Arg)変異と肥満、3)ALDH2(Glu to Lys)変異と膵臓がん、4)グレリン受容体:GHSR(177T/C)変異と摂食障害、5)CEL tadem repeatの回数とアルコール性慢性膵炎、6)SHIP2変異と耐糖能異常。Protease activated receptor 2(PAR2), Klotho, Cyp2A6, Ghrelinの多型の存在が欧米で報告されているが、これらは、我々の保管する日本人コントロール群では検出されなかった。おそらく人種差によるものと考えられる。 胆石症胆嚢ではCCK-AR遺伝子発現が低下していた。遺伝子多型との有意の関係は数が足りないため、認められなかったが、メチル化が高度におこっていると遺伝子発現が低く、メチル化が低度であると遺伝子発現が認められることを確認できた。 動物モデルを用いた遺伝子変異と疾患発症の関係の検討では、1)CCK-ARKOマウスはストレスを負荷すると過食になることがわかった。2)CCK-ARKOマウスはアルコールをたくさんのむ。それは、側坐核のドーパミン2受容体の過剰発現によることがわかった。3)CCK-ARKOマウスの胆石形成頻度の性差をしらべた。12ヵ月齢では性差がないが、24ヶ月齢では、雌の方が頻度が高かった。しかし、死亡例が多かったため全体数が減ってしまい、統計上の有意差がでなかった。
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