研究課題/領域番号 |
15390239
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
大内 尉義 東京大学, 医学部附属病院, 教授 (80168864)
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研究分担者 |
江頭 正人 東京大学, 医学部附属病院, 講師 (80282630)
飯島 勝矢 東京大学, 医学部附属病院, 助手(特任講師) (00334384)
大池 裕美子 東京大学, 医学部附属病院, 教務技官 (20359615)
小島 太郎 東京大学, 医学部附属病院, 医員 (40401111)
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キーワード | 血管石灰化 / Na依存性リン共輸送体 / アポトーシス / Gas6 / スタチン |
研究概要 |
本研究プロジェクトにおいて、以下の結果をえた。 1.リン刺激による培養ヒト大動脈平滑筋細胞(HASMC)の血管石灰化誘導モデルを確立し、その機序の一つとしてNa依存性リン共輸送体(NPC)を介した骨芽細胞様形質転換が重要であることを確認した。さらに、リン刺激によりアポトーシスが濃度依存的に増加し、Caspase阻害薬により石灰化・アポトーシスともに有意に抑制されたことから、石灰化におけるアポトーシスの関与を明らかにした。この石灰化・アポトーシスはGas6とその受容体であるAxlの発現減少が原因となることも発見した。 2.この培養系血管石灰化モデルを用いてスタチンの石灰化への作用を検討したところ、スタチンは石灰化とともにアポトーシスを抑制すること、その機序としてリン刺激で減少されたGas6・Axlの発現を回復させることを明らかにした。 3.ラットを用いた大動脈石灰化モデルの作成にも取り組んだ。アデニン誘発性の腎不全にともなう大動脈石灰化はスタチン投与により著明に抑制され、培養系実験にて確認したスタチンによる血管石灰化抑制作用をin vivoの実験系にて確認した。 4.血管石灰化に関する臨床研究にも取り組んだ。脈圧は加齢とともに上昇するが、その病理学的基盤は十分に明確にはなっていない。当科の患者42例を対象とし、X線像上にて腹部大動脈の石灰化長を測定し検討したところ、大動脈石灰化の程度と脈圧との間に有意な正の相関(r=0.54,p<0.01)が認められた。収縮期圧との間にも有意な相関(r=0.38,p=0.01)を認めた。このことは脈圧上昇のメカニズムとして想定される大動脈stiffnessと大動脈石灰化との関連を示唆するものである。
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