(1)ラパマイシンDrug Delivery System(DDS)の開発:心不全の基礎疾患となる心筋梗塞、高血圧、心筋炎は心筋組織の持続的な炎症を伴うことが知られている(Shioi et al. Circ Res. 1997;81:664、Shioi et al. Circulation.1996;94:2930)。京都大学医学部再生医科学研究所の田畑泰彦教授との共同研究でラパマイシンを炎症部位に特異的に到達させる方法について検討を開始した。これにより免疫抑制作用などラバマイシンの免疫抑制作用などの全身的な副作用を軽減し、効果的な心臓病治療を行える可能性がある。 (2)心臓の成長過程においてTORにより制御される遺伝子群の同定:生後1週令の新生児マウスにラパマイシンまたはvehicleを1週間腹腔内注射し心臓よりRNAを抽出しDNAチップを行うことにより、生理的な心臓の成長過程においてラパマイシンにより発現が制御されている遺伝子を同定した。ラパマイシン投与群ではcyclin B3が非投与群の量の33%に減少しており、その他eukaryotic translation initiation factor 3、stormal cell derived factor(SDF)2 1ike proteinなどの遺伝子の発現量が減少していた。逆に、ラパマイシン投与群ではgrowth arrest specific gene 8、c-myc binding protein、autophagy 12-like proteinなどの遺伝子発現が有意に増加していた(Shioi et al. manuscript in preparation)。Autophagyによるcell deathはnecrosisやapoptosisとならんで、心不全にみられる心筋細胞死の原因として大切であると考えられている。 (3)糖尿病モデルマウス(db/dbマウス)の心筋での老化マーカー発現に対するアンジオテンシン受容体拮抗薬の効果:いくつかの老化マーカーが糖尿病マウスの心臓組織で増加していた。アンギオテンシンII受容体拮抗剤は老化マーカーの発現を抑制した。
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