研究概要 |
ヒト虚血心への血管再生を目的とした骨髄細胞移植医療の確立には、特異的に血管分化する骨髄細胞分画の単離・同定、再生心筋の分子・個体レベルでの病態心での機能解析だけでなく、移植心筋部位・細胞導入方法の検証などをふまえての多施設臨床試験が必要である。血管内カテーテル治療後再狭窄予防としてsirolimus溶出ステントの著明効果が報告されたが、これは内皮再生化ではなく血管平滑筋増殖抑制である。骨髄細胞など生体材料からの傷害冠血管内皮再生化や自家骨髄系内皮細胞被覆ステントの開発が待たれる。 私達は骨髄CD14+単球細胞は内皮前駆細胞としての機能を充分にもち、虚血部ではVEGF存在下で完全な血管内皮細胞に分化し、MCP-1ケモカインにより傷害血管内皮に強固に接着し内皮再生化・内膜肥厚抑制することを見いだした(Circ Res 2004;93:980-989)。これは骨髄細胞中に豊富に含まれる単球系細胞が血管内皮幹細胞として機能し、血管内皮だけの再生を強力に誘導可能な生体材料として、重症狭心症や傷害冠血管内皮再生化に利用可能であることを示唆していた。この研究成果をもとに、1)血管に特異的分化する骨髄細胞分画の免疫学的位置づけ・成熟内皮への分化誘導法確立、2)骨髄細胞より分化再生した心筋細胞の分子・個体レベルでの機能解析,3)虚血心への多施設血管新生臨床試験への展開、血管内皮再生工学による再狭窄予防法の開発を行う。
|