研究概要 |
本年度は、私どもが明らかにしてきた培養ラット・メサンギウム細胞のギャップ結合蛋白、コネキシン43の機能・シグナル伝達機構についての研究を発展させ、血管内皮細胞、血管平滑筋細胞、糸球体メサンギウム細胞、レニン産生細胞(顆粒細胞)の相互作用について研究を進めた。また生体内の微小循環動態観察が可能な実時間画像撮影法を用いて、単離腎かん流及び生体内の腎微小循環系について検索した。以下にその概要を記す。 1.コネキシン40,43単クローン抗体(市販)を用い、ラット・メサンギウム細胞とラット血管内皮細胞の培養標本、単離糸球体におけるコネキシン40,43の局在を蛍光抗体法により検索した。両コネキシンの蛋白発現はin vivoとin vitroで全く異なっていた(2004年5月、腎学会総会発表予定)。 2.ラット・レニン産生細胞(初代培養細胞)について検索し、コネキシン43は検出されず、ギャプ結合能(dye diffusion)も認められなかった。また、レニン産生細胞間の協調作用はATP(purinergic receptor)を介してCa++伝播することが判明した。また、単離腎かん流でATPの投与により腎でのレニン産生が調節(抑制)されることも明らかとなった(Circulation Research 93:338-345,2003)。 3.糸球体硬化、腎不全を来たすラット腎炎モデルの糸球体微小循環実時間画像解析により、糸球体血流速度の低下のみならず、糸球体血流の乱れ(停止、再流等)を示すことが明らかとなった(2003年11月、米国腎学会発表)。 4.GFP-transgenic rat骨髄細胞の移植により、腎虚血再かん流モデルで傷害された腎間質微小血管内皮細胞の修復に骨髄由来内皮前駆細胞が関与することが判明した(2003年11月、米国腎学会発表、同じく実時間画像撮影法による)。
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