研究課題/領域番号 |
15390270
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
腎臓内科学
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
今井 圓裕 大阪大学, 医学系研究科, 助教授 (00223305)
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研究分担者 |
伊藤 孝仁 大阪大学, 医学系研究科, 助手 (60362703)
猪阪 善隆 大阪大学, 医学系研究科, 助教授 (00379166)
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研究期間 (年度) |
2003 – 2004
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キーワード | 腎臓 / 再生医療 / GFP / PDGF / SP細胞 / 胎児マイクロキメリズム |
研究概要 |
1)我々は、骨髄由来細胞が糸球体メサンギウム細胞に分化する際に関わると考えられる生物学的条件を見いだした。2)腎臓内に存在するSP細胞を分離し、その性質を解析した。3)胎仔マイクロキメリズムにより、出産後の母胎には胎仔由来細胞が生着しており、慢性肝障害や腎障害では、組織修復に関わることを示した。妊娠母体においては、胎盤を通して胎児から母体に対して細胞の侵入が生じており、妊娠経験のある母体には少数の胎児細胞が長期間生着していると報告されている。これをmicrochimerismという。ヒトでは出産後27年以上を経てもmicrochimerism状態にあった例が報告されている。胎児細胞は慢性炎症組織に観察されやすく、慢性甲状腺炎の組織やC型慢性肝炎の組織にて、高頻度に観察されると報告されている。また、胎児細胞は母体にとってsemi-allogenicであることから、Sjogren症候群や強皮症などの自己免疫疾患の原因となっているという報告もある。母体に生着する胎児細胞には、多分化能を有した未分化細胞が含まれている可能性があり、我々は、このmicrochimerismと腎疾患との関係を検討した。ラットのゲンタマイシン腎症で示したような尿細管傷害はヒト疾患においても観察されることから、実際にヒトの慢性腎障害において、マイクロキメリズムにより生着した胎児細胞が母胎の組織に関与している可能性は極めて高い。この貢献は、おそらく、胎児細胞が骨髄に生着して、母胎の骨髄細胞と同様の性質を得ることによると推察される。4)糸球体上皮細胞の修復に関与すると考えられる分子を同定する方法を確立した。5)レチノイン酸がその修復に重要な役割を果たしており、修復促進のひとつのメカニズムは、レチノイン酸によるネフリン転写促進であることを解明した。
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