研究課題/領域番号 |
15390275
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研究機関 | 熊本大学 |
研究代表者 |
安東 由喜雄 熊本大学, 大学院・医学薬学研究部, 講師 (20253742)
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研究分担者 |
今西 武 大阪大学, 大学院・薬学研究科, 教授 (40028866)
中村 政明 熊本大学, 医学部附属病院, 医員
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キーワード | 家族性アミロイドニューロパチー / 遺伝子治療 / single-stranded oligonucleotides (SSOs) / トランスサイレチン(TTR) / 遺伝子修復関連遺伝子 / マイクロアレイ |
研究概要 |
家族性アミロイドポリニューロパチー(FAP)の治療として、肝移植が行われているが、肝移植にはいくつかの大きな問題点があるため、これに代わる治療法の開発が不可欠である。オリゴヌクレオチドを用いて肝臓の異型TTR遺伝子を正常のTTRの遺伝子配列に修復する治療法は、その中で有力な侯補である。そこで、本研究では、single-stranded oligonucleotides (SSOs)を用いて、最適な遺伝子修復法についてin vitro, in vivoの両面から検討した。 最初に、FAPの遺伝子治療の標的臓器が肝臓であることから、HepG2細胞へのSS0sの最適なトランスフェクション法を検討したところ、アテロコラーゲンによる方法が最も効率よくSSOsが核に取り込まれた。次に、0.1%および0.5%アテロコラーゲンと25mers、45mers、74mersのSSOsを用いて、SSOsによるHepG2細胞における遺伝子変換の最適条件を検討したところ、0.5%アテロコラーゲンで包埋した74mersのSSOsを用いた系が、約10%と最も高い変換率を示した。次に、SSOsによるマウスの内因性のTTR遺伝子をVal30Metに変換したトランスジェニックマウスの肝臓における遺伝子変換の検討を行った。0.05%アテロコラーゲンで包埋したSSOsを直接肝臓に注入したところ、約8.7%の遺伝子変換を認めた。さらに、遺伝子変換率をあげるために、SSOsの改良およびマイクロアレイ解析による遺伝子修復に関与する遺伝子の同定を試みた。SSOsはdegradationを防ぐために、両端の3塩基はS-oligoを使用しているが、S-Oligoには蛋白質への非特異的な吸着や免疫反応を誘発するため、これに代わる人工オリゴの開発が不可欠である。そこで、大阪大学大学院薬学研究科の今西武教授の開発された超機能性人工核酸、bridged nucleic acid (BNA)に注目し、これを利用したSSOsの設計を行い、HepG2細胞に投与し、遺伝子変換率を検討した。両端および内部にもBNAを配置したSSOsの場合には、約27%と従来のSSOsの約2倍の遺伝子変換率を認めた。遺伝子修復に関与する遺伝子の同定は現在検討中である。 今後、この改良したSSOsによるin vivoでの最適な投与方法について検討を加えていく予定である。
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