研究概要 |
パーキンソン病はアルツハイマー病に次いで頻度の高い神経変性疾患であり、その殆どは遺伝性のない孤発型である。その病態解明に単一遺伝子異常に伴う遺伝性パーキンソン病からのアプローチが最も有効な戦略であると考えており、本課題では、家族性若年性パーキンソン病の原因遺伝子であるパーキン遺伝子を中心に、その機能解析および変異解析を行っている。更に新規原因遺伝子としてPINK1,DJ-1が単離され、遺伝子産物間の相互作用が注目されている。しかしながら、依然として不明遺伝子変異群が約40%と少なからず存在することが分かった。PINK1については、我々も独自に単離・同定に成功しAnn Neurolに発表した。また新しい欠失タイプの変異型が存在することもNuerologyに発表した。遺伝子変異解析を行いつつ新規原因遺伝子単離を目指して連鎖解析を開始した。一方、遺伝子産物の機能解析については、parkin蛋白をアンチセンスストランドでknock downすることに成功し、loss-of-function効果の標的分子としてドパミンキノン体が有力であることを突き止めた。更にそのドパミンキノン体による細胞死は,正常α-シヌクレインにより保護されたが、変異型α-シヌクレインでは細胞抑制阻止作用を認めなかった。更にparkinの結合分子として14-3-3ηを同定した。14-3-3ηがparkinと結合するとparkinのリガーゼ活性が抑制された。興味深いことにこの抑制効果は、正常α-シヌクレインが存在すると減弱された。分子生物学的手法でも生化学的手法でもSNCAとPARK2の遺伝子産物が共通カスケードを形成していることが分かった。現在、SNCAとparkinのダブルノックアウトマウスを作製に成功しており、行動・組織化学的検討を開始した。
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