研究課題/領域番号 |
15390278
|
研究種目 |
基盤研究(B)
|
研究機関 | 東海大学 |
研究代表者 |
篠原 幸人 東海大学, 医学部, 教授 (60051504)
|
研究分担者 |
松田 博 東海大学, 医学部, 助手 (20317811)
平林 久幸 東海大学, 医学部, 助手 (60328143)
滝沢 俊也 東海大学, 医学部, 助教授 (70197234)
|
キーワード | 無症候性脳梗塞 / MRI / 危険因子 / 遺伝子因子 / 血小板凝縮能 / 血圧 / 抗血小板薬 / 降圧薬 |
研究概要 |
MRIの普及により無症侯性脳梗塞、無症候のMRI上の脳室周囲病変(PVH)および深部皮質下白質病変(DSWMH)が高齢者や高血圧者に高頻度にみられる事が明らかとなり、かつ年齢などを十分考慮してもこの病変を持つ者は将来高頻度に脳梗塞を生じる事が明らかとなった(難波・篠原:脳卒中、1997、Shinohara et al. : World Congress of Neurology 2001)。平成11年度から3年間、厚生科学研究費補助金を受け『本邦における無症候性脳梗塞の実態・予防の必要性とその予後に関する研究』を行ったが、本研究ではその研究をさらに進め、脳梗塞の予知因子となる可能性を持った無症候性脳梗塞、PVH、DSWMHの経時的経過、脳梗塞危険因子との関係、遺伝子との関係、血小板凝集能亢進と血小板薬の効果判定、高血圧と降圧薬の効果、および最適の血圧値の設定などの検討を目的とした。 平成15年度は無症候性脳虚血病変患者を登録し、本研究の基礎的dataを得る事を主として行った。今年は東海大学病院神経内科、東海大学大磯病院神経内科、東日本循環器病院、ハイメディック山中湖に通院中の104例を登録した。患者背景を見ると、男性57名、女性47名で、平均年齢67±10歳(mean±SD)やあった。登録患者の75%は局所神経徴候や血管性痴呆がなく、一過性脳虚血発作を含む脳卒中の既往が無く、画像上でのみ病巣が確認された"無症候性脳血管障害"であり、残りの25%は症候性の脳血管障害の既往があるが、巣症状を示さない病巣を併存する"無症候性脳血管性病巣"を有する患者であった。危険因子としては高血圧が最も多く、次いで高脂血症、糖尿病頚動脈病変の順であった。登録時の血圧は、収縮期血圧134±12mmHg、拡張期血圧76±7mmgであった。登録時の臨床検査値は、血清総コレステロール207±26mg/dL、中性脂肪129±66mg/dL、血糖105±14mg/dL、HDL-コレステロール63±18mg/dLであった。さらに40例のみの解析結果ではあるが、ホモシステイン値11±3μmol/L、Lp(a)17±24mg/dL、血小板第XII因子活性74±27%、Flow cytometry法によるfibrinogen receptor PAC-1は33.1±20.2、CD-62p(p-selectin)は7.9±10.1であった。さらにApoE遺伝子のタイプ分けを見ると、3/3が72%、3/4が28%であった。α-1-Antichymotrypsin gene A1252G variant (ACT Isehara 1)は全例がwild typeであった。 今後3年間の臨床検査値の推移とMRI所見の変化を検討してゆく予定である。
|