研究課題/領域番号 |
15390286
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
清野 裕 京都大学, 医学研究科, 教授 (40030986)
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研究分担者 |
細川 雅也 京都大学, 医学研究科, 講師 (50343231)
山田 祐一郎 京都大学, 医学研究科, 助教授 (60283610)
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キーワード | インクレチン / GIP / GLP-1 / 膵β細胞 / 脂肪細胞 / 骨芽細胞 |
研究概要 |
インクレチンは腸管から分泌されるホルモンである。研究代表者は、膵β細胞から食後早期におけるインスリン分泌を惹起するとともに、脂肪細胞に直接作用し、糖・脂肪の取り込みを促進することを明らかにしている。本研究では、消化管からインクレチンが分泌される分子機構と腸管と各種臓器の機能連関からみたインクレチンによる代謝調節機構の解明により、腸管シグナルの役割を明らかにすることを目的としている。 本年度はまず脂肪細胞との関わりに関して、GIP受容体欠損マウスに、IRS-1欠損マウスとの交配または高脂肪食負荷により検討した。その結果、インスリンシグナルが減弱した状態においてもGIPのシグナルの欠損は肝臓における脂肪のβ酸化の促進などを介してインスリン抵抗性の改善に関与することを明らかにした。さらに、野生型動物は、高脂肪の摂取に約5週間かかり徐々に適応し、脂肪の蓄積から燃焼へと代謝をシフトさせるのに対し、GIPのシグナルが欠損すると直ちにシフトが起こることを示した。 また、GIP受容体欠損マウスとGLP-1欠損マウスのダブル欠損マウスでは骨梁が細く短くなるが、これは一つには破骨細胞の活性に対しGIPおよびGLP-1のいずれもが抑制作用を有していること、ならびに骨芽細胞に対してはGIPが間歇的に促進作用を示すことによると考えられた。 一方、膵β細胞に対しては、GIP受容体のスプライシングバリアントが存在し、このバリアントでは、通常のGIP受容体に対しドミナントネガティブに作用することを明らかにし、膵β細胞におけるGIP作用不全の生じる機構の一端を明らかにすることができた。
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