骨代謝における骨細胞の機能をin vivoで検証するために、骨細胞をablateできるマウスを開発した。骨細胞に比較的特異的に発現するDMP-1 (dentin matrix protein-1)のプロモーターの下流にジフテリア毒素(DT)の受容体であるヒトHB-EGF (heparin binding-EGF) cDNAをつなげたDNAコンストラクトを作成し、これを受精卵に打ち込んでトランスジェニックマウスを作出した。マウスは本来DTに抵抗性を示すが、DT受容体であるヒトHB-EGFを発現する細胞のみが、外因性に投与したDTに対して感受性を獲得してablateされるようデザインされている。2種類のDMP-1プロモーター領域を用いて計7系統のトランスジェニックマウスを樹立しており、うち3系統においてDTの投与により骨細胞が死滅する(うち1系統では効率的に死滅させることができる)ことを骨切片のHE染色法により確認した。1系統においては骨細胞に高発現しているDMP1 mRNAの発現量はDT投与により75%減少し、ヒトHB-EGF mRNAの発現はほぼ完全に消失した。DT受容体であるヒトHB-EGFは、骨では免疫組織化学により骨細胞に発現しており、DTの投与によりほぼ完全に消失したことより、DT受容体がターゲットとなり骨細胞がablateされたことが確認された。
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