研究課題/領域番号 |
15390291
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研究機関 | 群馬大学 |
研究代表者 |
森 昌朋 群馬大学, 医学部, 教授 (80174382)
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研究分担者 |
山田 正信 群馬大学, 医学部, 講師 (90261833)
清水 弘行 群馬大学, 医学部, 講師 (20251100)
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キーワード | PPARγ / 食欲調節 / 脂肪細胞 / 視床下部 / N-associated protein |
研究概要 |
脂肪細胞由来のいくつかの生理活性物質はPPARγにより制御され、脳内に局在する。PPARγ活性化剤のTroglitazone(TGZ)により増加する新たな分泌蛋白を見出し、その食欲調節作用を検討する。方法と成績:(1)TGZ添加群と非添加群の肺癌細胞由来SQ-5細胞からmRNAを調整し、Subtraction cloning assayを行い、TGZで増加する遺伝子596クローンを同定した。(2)それらの遺伝子coding regionに分泌signal sequenceを有している蛋白質を9クローン得た。それらの中で実際にSQ-5細胞においてTGZでmRNA発現が著明に亢進する1クローンを得た。この蛋白質は24アミノ酸のsignal sequenceを有する全長396アミノ酸からなっていた。(3)このクローンは神経芽細胞種由来のHTB185細胞でも発現しており、TGZ添加により増加した。(4)この蛋白質はPCによるprocessing site(KR/RR)が3箇所存在するので、その切断部位に相当する4種類のpeptideを合成し、家兎に免疫することにより抗体を得た。(5)それらの抗体を用いてラット脳の免疫染色を行ったところ、摂食と関係する視床下部室傍核、弓状核等に強い免疫染色性が認められた。これらの蛋白質をN-associated protein(NAP)と命名し、processingを受けて生ずると想定される各蛋白質をNAP-1〜4と命名した。ラット脳内の免疫染色性は抗NAP-1/2抗体で強く、抗NAP-3/4抗体では非常に弱い染色性であった。またNAP-1/2の発現と、PC-2の発現は共染したことから、PC-2によりNAPはprocessingを受ける事が示唆された。(6)明期に抗NAP-1/2の各IgG抗体を無麻酔下でラット脳内に投与したところ、その食餌摂取量は、対象IgG投与群に比較して著明に増加しており、その増加は6時間持続した。一方抗NAP-3/4IgG投与による摂食量に有意の変化を認めなかった。(7)48時間絶食させたラット視床下部におけるNAP mRNA発現量の変化を検討するためantisense-NAP cRNAを用いて、in situ hybridyzationを行った結果、対照群に比し絶食群の視床下部室傍核NAP mRNAは著明に減少していた。現在の結論:PPARγ応答性分泌蛋白NAPが新たに同定され、それらは脳視床下部に局在し、PCによりprocessingを受け、食欲調節に抑制性に作用する可能性が示唆された。
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