研究課題/領域番号 |
15390291
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
内分泌学
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研究機関 | 群馬大学 |
研究代表者 |
森 昌朋 群馬大学, 大学院・医学系研究科, 教授 (80174382)
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研究分担者 |
清水 弘行 群馬大学, 医学部, 講師 (20251100)
山田 正信 群馬大学, 医学部, 講師 (90261833)
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研究期間 (年度) |
2003 – 2004
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キーワード | Satiety factor / PPARγ / 肥満 / NAP |
研究概要 |
(1)昨年までの成果;PPARγ応答性蛋白をcloningし、その中で脂肪細胞と脳視床下部に局在している分泌蛋白を発見し、NAPと命名した。リコンビナントNAPをラット脳室内に投与すると、濃度依存性に摂食量を抑制し、NAP抗体の脳室内投与後摂食量は著明に増加した。これらの事実を踏まえて下記の実験を行った。 (2)絶食による視床下部NAP遺伝子発現の変動;絶食24時間後のラット脳視床下部のNAP mRAの変動をin situ hybridization法で解析し、視床下部外側野におけるNAP mRNAの発現が有意に減少していた。(3)NAPのprocessingの検討;NAPのN端側を認識する抗体NAP Ab48で染色される視床下部の殆どの神経核は、抗PC-1/3抗体および抗PC-2抗体で共染されることが判明した。また、NAP Ab48により、NAP(25-106)に一致する分子量10kDaの位置に脳視床下部抽出物サンプルおよび脳脊髄液サンプルで明瞭なバンドが認められ、このバンドは合成NAP(25-106)を添加する吸収試験で消失した。一方NAP Ab325により、両サンプル共に47.5kDaに一致するNAPのバンドは認めたが、NAP(25-106)に一致する10kDaのバンドは認めなかった。NAP(25-106)ペプチドの脳室内投与により、摂食量は減少し、その抗体の脳室内投与により、摂食量は増加した。(4)脳室内持続投与後の摂食量と体重の変化;NAP-1(5pmol)の脳室内への持続投与により、摂食は投与期間中著明に減少し、また体重の正常な増加も抑制され、投与11日目では対象群の約60%に減少した。また、NAP-morpholino antisenseの脳室内持続投与により、摂食量は著明に増加し、体重は投与7日目から有意に増加し、投与11日目には対象群より約10g増加した。(5)Zuckerラット脳室内へのNAP-1投与後の摂食量の変化;Leptin受容体に変異のあるZuckerラットの脳室内のNAP-1(5pmol)の投与においても明らかな摂食抑制効果を認めた。 以上の成績より、PPARγ活性化剤によりactivateされる遺伝子解析から、脳視床下部に発現し摂食を抑制するNAPを発見した。このNAPはprohormone convertaseによりProcessingを受けNAP-1となり、このNAP-1がNAPの摂食抑制の活性中心部位であることが判明した、さらにNAPはLeptin抵抗性状態でもその食欲神制効果を示すことより、NAPはLeptin抵抗性を示す人肥満症患者に対して有効な抗肥満薬となる可能性が示唆された。
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