研究課題/領域番号 |
15390292
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研究機関 | 埼玉大学 |
研究代表者 |
井上 金治 埼玉大学, 理学部, 教授 (50091963)
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研究分担者 |
坂井 貴文 埼玉大学, 理学部, 教授 (40235114)
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キーワード | プロラクチン放出ペプチド / プロラクチン / PrRP受容体 / 向下垂体性視床下部因子 / ストレス / 孤束核 / CRH / ACTH |
研究概要 |
7回膜貫通型のオーファン受容体の内因性リガンドとして発見されたプロラクチン放出ペプチド、PrRPの神経内分泌学的な機能解析を目指して研究を行った。これまでの研究からPrRPは孤束核のノルアドレナリン産生神経細胞で産生され、ストレスを仲介し、コルチコトロピン放出ホルモン(CRH)を介して下垂体のACTHを分泌することが明らかにされた。しかし、PrRPの受容体は下垂体に多く存在することや、下垂体の培養細胞に作用させるとプロラクチンの放出が促進されるなど神経内分泌学的に興味ある機能を持つことが明らかになっている。しかし、下垂体への作用経路や、PrRP産生神経の機能の制御機構などは明らかにされていない。このため、本年度は特にPrRPの下垂体への作用機構を中心にして研究を進めた。これまでの研究からPrRPは副腎でも産生されていることが知られている。このため、下垂体へは副腎から分泌されるPrRPを介して作用する可能性を明らかにするために、下垂体前葉においてプロラクチンの放出を促すエストロゲン刺激などを施した後、副腎におけるPrRP mRNAを定量PCRにて検討した。しかし、副腎のPrRP mRNAは変化しなかった。一方、下垂体前葉でPrRP受容体を持つ細胞はプロラクチン産生細胞であった。さらに下垂体のPrRP受容体mRNAはエストロゲンによって発現が減少した。これらの現象からPrRPは下垂体のプロラクチン細胞の機能制御に関わる生理活性物質であることが予想される。しかし、PrRP陽性神経は正中隆起部に投射しないことや、下垂体自身ではPrRPは発現しないことから、下垂体へのPrRPの作用機構に関してはさらに研究が必要である。
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