XIIIA KOは、オス、メス共に野生型とほぼ同様の成長を示すが、時間の経過上共に、オスのホモ接合体の生存率が低下した。オスのホモ接合体は、6ヶ月後までに約40%、8ヶ月後には約50%が死亡しており、その主因は胸腔内あるいは腹腔内出血で、特に最初に死亡した3匹には巨大な心嚢血腫が見つかった。死亡したマウスの形態学的検索により、心筋組織間にび漫性の繊維化が例外なく認められたので、生存中のマウスをsacrificeして心臓の病理学的検索を実施したところ、XIIIA KOオスのホモ接合体は外見上正常ではあっても、微少出血、ヘモジデリン沈着、繊維化の箇所が散在性に多数認められた。 KOマウスオス、メス×野生型オス、メスの4種類の交配を行なうと、XIIIA KO同士では野生型同士の交配に比べて出産数が少なく、自然流産を頻回に起こす妊娠メスマウスがみられた。半数のメスマウスは妊娠期に膣からの出血過剰で死に至った。これに対し、KOオスと野生型メスの交配では野生型同士と比べても出産数に有意な差は認められなかった。妊娠期に出血過剰で死亡したXIIIA KO同士で交配のメスマウスの開腹を行なうと、血液で充満した子宮並びに貧血を呈した肝臓が認められた。他の臓器には異常がなく、子宮以外の箇所での出血も認められなかった。病理学的解析の結果、子宮内胎児死亡、並びにこの胎児の胎盤でのSpongiotrophic Zoneの発育不全が示唆された。連続薄切切片では、胎盤絨毛部位での明らかな出血性病変が認められた。
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