研究課題/領域番号 |
15390304
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研究機関 | 大阪市立大学 |
研究代表者 |
北川 誠一 大阪市立大学, 大学院・医学研究科, 教授 (50133278)
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研究分担者 |
加藤 隆幸 大阪市立大学, 大学院・医学研究科, 助手 (50343413)
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キーワード | 好中球 / インターフェロン / アポトーシス / cIAP2 / STAT3α / STAT3γ / G-CSF / エラスターゼ |
研究概要 |
1.好中球の生存とcIAP2:アポトーシス阻害因子であるcIAP2(cellular inhibitor of apoptosis 2)がヒト好中球に対する顆粒球コロニー刺激因子(G-CSF)の抗アポトーシス作用に関与し、cIAP2の発現がJAK2-STAT3によって誘導されることを既に明らかにしている。今回、I型インターフェロン(IFN-α)及びII型インターフェロン(IFN-γ)が、共にG-CSFと同様な機序を介して、好中球に対し抗アポトーシス作用を示すことを明らかにした。すなわち、IFN-α及びIFN-γはJAK2-STAT3を介してcIAP2 mRNA及び蛋白質を特異的に誘導した。これらの結果は、サイトカインによるヒト好中球の生存延長にSTAT3及びcIAP2が極めて重要な役割を果たしていることを示している。 2.好中球に発現しているSTAT3 isoform : STAT3には少なくとも4種類のisoform(α、β、γ及びδ)が存在し、それぞれ特異的な役割を果たしていると報告されている。多くの細胞ではSTAT3αが主として発現しているが、ヒト好中球にはSTAT3αのC末端が欠損したSTAT3γが主として発現すると報告されている。そこで、STAT3γ生成の機序を解析した。STAT3γはSTAT3αがセリンプロテアーゼにより限定分解を受けて生成された。このセリンプロテアーゼは顆粒画分に存在し、主としてエラスターゼがその役割を果たしていることが明らかになった。さらに詳細な解析から、無傷の好中球の細胞質に存在するSTAT3は主としてSTAT3αであり、STAT3γは好中球を可溶化する際に、蛋白分解を受けてすみやかに生じることが明らかになった。すなわち、好中球において主として機能しているSTAT3 isoformは、STAT3γではなく、STAT3αであることが判明した。
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