研究課題
基盤研究(B)
1.サイトカインによる好中球の細胞骨格系の制御:顆粒球コロニー刺激因子(G-CSF)、顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(GM-CSF)及び腫瘍壊死因子(TNF-α)の刺激を受けたヒト好中球におけるアクチンの再構築と形態変化は、ERK及びp38 MAPKによって制御されていることを明らかにした。2.サイトカインによる好中球の運動の制御:G-CSF刺激により誘導される好中球の細胞運動はランダム運動であり、ERKとPI3Kによって制御されていることを明らかにした。3.G-CSFによる単球機能制御:G-CSFはJAK2-STAT3を介してLPS刺激により誘導される単球からのTNF-αの産生を抑制した。G-CSFは好中球数の増加と好中球機能亢進を介して生体防御機構を増強させると共に単球機能を制御することによって免疫制御作用を示すと考えられる。4.好中球の生存とcIAP2:ヒト好中球にはアポトーシス阻害因子であるIAP familyが発現しており、cIAP2がG-CSF、IFN-α及びIFN-γにより特異的に誘導され、好中球に対するこれらのサイトカインの抗アポトーシス作用に関与していることを明らかにした。これらのサイトカインによるcIAP2の発現はJAK2-STAT3によって誘導された。また、慢性好中球性白血病ではcIAP2が過剰発現しており、好中球の生存も延長していることを明らかにした。5.好中球に発現しているSTAT3 isoform :ヒト好中球にはSTAT3αのC末端が欠損したSTAT3γが主として発現していると考えられてきた。STAT3γはSTAT3αが主としてエラスターゼにより限定分解を受けて生成された。好中球において主として機能しているSTAT3 isoformは、これまでの報告とは異なり、STAT3γではなくSTAT3αであることを明らかにした。
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