研究課題/領域番号 |
15390316
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研究機関 | 長崎大学 |
研究代表者 |
江口 勝美 長崎大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 教授 (30128160)
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研究分担者 |
川上 純 長崎大学, 医学部・歯学部附属病院, 講師 (90325639)
川崎 英二 長崎大学, 医学部・歯学部附属病院, 助教授 (70336171)
井田 弘明 長崎大学, 医学部・歯学部附属病院, 助手 (60363496)
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キーワード | シェーグレン症候群 / 初代培養唾液腺細胞 / TLR-3 / poly(I:C) / アポトーシス / CD54 / NF-κB / Akt |
研究概要 |
昨年度までの検討で、シェーグレン症候群(SS)症例の口唇小唾液腺組織にはtoll-like receptors(TLRs)が発現していることがわかった。また、唾液腺細胞株にもTLRsとアダプター蛋白のmyeloid differentiation factor 88(MyD88)が発現し、TLRリガンド刺激に反応することもわかった。SSの病態へのTLRシグナルの関与をより検討するために、本年度は初代培養唾液腺細胞を用いて実験を行った。初代培養唾液腺細胞はSS口唇小唾液腺組織より単離培養した。ウエスタンブロットにより、これら細胞にはTLR2、TLR3、TLR4、MyD88の発現が認められた。初代培養唾液腺細胞をTLR2リガンド(peptidoglycan ; PGN)、TLR3リガンド(poly(I:C))およびTLR4リガンド(lipopolysaccharide ; LPS)存在下で培養すると、poly(I:C)刺激でのみアポトーシスが誘導された。しかしながらpoly(I:C)はアポトーシスのみではなく初代培養唾液腺細胞を活性化し、細胞表面のCD54発現は顕著に増大した。細胞内シグナル伝達の検討では、poly(I:C)は初代培養唾液腺細胞のnuclear factor kappaB(NF-κB)核内移行を促進した。阻害剤を用いると、初代培養唾液腺細胞のpoly(I:C)依存性アポトーシスは、NF-κB阻害剤とAkt阻害剤により著明に増強された。これらの実験結果より、TLR3は初代培養唾液腺細胞での主要なTLRであること、また、これら細胞のTLR3は、細胞活性化シグナルとアポトーシスシグナルを同時に活性化することが示唆された。細胞活性化とアポトーシスはSS唾液腺細胞の特徴であり、TLR3はSSの病態形成に深く関与していることが考えられた。今後は初代培養唾液腺細胞TLR3の内因性リガンドの検索と、TLR3を介するシグナル伝達機序を解明したい。
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