研究課題/領域番号 |
15390319
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研究種目 |
基盤研究(B)
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
林 富 東北大学, 大学院・医学系研究科, 教授 (40125638)
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研究分担者 |
中村 潤 東北大学, 医学部附属病院, 講師 (50282067)
野田 哲生 東北大学, 大学院・医学系研究科, 教授 (10183550)
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キーワード | 横紋筋肉腫 / patched / Nevoid Basal Cell Carcinoma Syndrome / ソニックヘッジホッグ(Shh)シグナル / コンディショナル・ジーンターゲティング法 / 横紋筋特異的Ptc1欠損マウス |
研究概要 |
横紋筋肉腫の一部には、癌抑制遺伝子patchedの異常により発症するNevoid Basal Cell Carcinoma Syndromeに伴う腫瘍の一つとして発症するものがあることが知られている。このため横紋筋肉腫の発生にはpatchedを介したソニックヘッジホッグ(Shh)シグナルの異常な活性化が関与していることが示唆されている。そこで、本研究では、コンディショナル・ジーンターゲティング法を用いて横紋筋特異的patched(以下、Ptc1)欠損マウスを作製し、Shhシグナルの活性化の横紋筋肉腫発生への関与及び、マウス横紋筋細胞におけるPtc1の機能を直接的に検証することを試みた。 この前段階として、本「研究課題」では「胎仔横紋筋特異的にCre酵素を発現するトランスジェニックマウス」(以下、胎仔横紋筋Creマウス)の作製を目指したが、Bruningらが報告したMCKプロモータ制御下にCreを発現するトランスジェニックマウス(以下、MCK-CreマウスMolecular Cell 1998 2;559-569)が「胎仔横紋筋Creマウス」として利用できる可能性があることが判明した。現在、MCK-creマウスのCre発現の横紋筋特異性、発現時期に関してノーザンブロット法や「コンディショナルβガラクトシダーゼ発現マウス」を利用したLacZ染色法等を用いて詳細に再検討を行っている。 横紋筋特異的Ptc1欠損マウス(MCK-cre/Ptc1^<S/S>マウス)を作製するため、MCK-CreマウスとコンディショナルPtc1欠損マウス(Ptc1^<S/+>マウス)との交配を行った。このMCK-cre/Ptc1^<S/S>マウスはPtc1^<S/S>マウスとMCK-cre/Ptc1^<S/+>マウスの交配こより、出生した80個体のうち21個体(22.0%)得られ、ほぼメンデル則による期待値(25%)と一致していた。 MCK-Cre/Ptc1^<S/S>マウスは、生後1ヶ月では、成長不良、横紋筋の発達異常、腫瘍発生はみとめられず、生存している。現在、MCK-cre/Ptc1^<S/S>マウスについて経過観察を行い、横紋筋のH&E染色、免疫化学染色による組織像の観察、サザンブロット法を用いたPtc1遺伝子の導入効率の計測を行い、発癌の有無、Shhシグナルの活性化が横紋筋の分化発生に及ぼす影響を更に詳細に検討している。
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