研究課題
チロシンキナーゼであるPDGFRAとc-KITの変異を小児急性骨髄性白血病(AML)患者検体114例とAML細胞株69株で検討した。c-KITの発現は細胞株の72.5%、患者検体の91,2%でみられたのに対して、PDGFRAの発現は細胞株の40.6%、患者検体の55.3%にしかみられなかった。c-KITの変異は成人のt(8;21)およびinv(16)を有するAMLでは30〜40%という高率にみられるが、今回の検討では12例のt(8;21)、2例のinv(16)のうちt(8;21)の1例にD816V変異を認めたのみで、小児では成人に比べてc-KITの関与は少ない可能性が示唆されたPDGFRAの変異はこれまで白血病では全く報告がなかったが、今回初めてt(8;21)の1例とinv(16)の1例にTK2領域のミスセンス変異を見出し、c-KITだけでなくPDGFRAも白血病化に関与している可能性が示唆された。このPDGFRAの変異がc-KITやFLT3の変異と同様に細胞増殖に影響を与えているかどうかについて、現在マウスのPro B細胞株Ba/F3に変異PDGFRAを強制発現させて細胞増殖能への影響を検討中である。また、マウスの骨髄移植系を用いたMLL-SEPT6の解析では、MLL-SEPT6のみの導入ではマウスは骨髄増殖性疾患を発症するが、白血病は発症しなかった。MLL陽性白血病では高率にFLT3の変異がみられることから、次にMLL-SEPT6と同時に変異FLT3をマウス骨髄幹細胞に導入し、移植を行ったところ、今度は高率に白血病を発症した。このことはMLL陽性白血病では転座によるキメラ遺伝子だけでは白血病化に十分ではなく、白血病化にはキメラ遺伝子の他にFLT3などのチロシンキナーゼの二次的な変異が必要であることが示唆された。
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