研究課題/領域番号 |
15390325
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
原 寿郎 九州大学, 大学院・医学研究院, 教授 (40150445)
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研究分担者 |
楠原 浩一 九州大学, 大学院・医学研究院, 助教授 (20243941)
高田 英俊 九州大学, 大学病院, 講師 (70294931)
野村 明彦 九州大学, 大学病院, 助手 (00325531)
酒井 康成 九州大学, 大学病院, 助手
吉開 泰信 九州大学, 生体防御医学研究所, 教授 (90158402)
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キーワード | 結核 / 細胞免疫療法 / 樹状細胞 / IFN-γ / センダイウイルスベクター / T-bet / 細胞遺伝子療法 / 結核感染マウスモデル |
研究概要 |
in vitroで作成した抗原感作樹状細胞を人体に投与すると宿主に強力な抗原特異的免疫反応が誘導されるが、近年これを悪性腫瘍や感染症の治療に利用する研究が進んでいる。我々はこの細胞免疫療法を結核の治療、予防に応用することを目的として、本年度次のような研究を行った。 1.マウス骨髄細胞から樹状細胞を作成し、結核菌抗原であるMPT64ペプチド(MHC class Ia拘束性)およびTB2ペプチド(MHC class Ib拘束性)を感作した。ペプチド感作樹状細胞投与後、脾臓・肺・PECにおける抗原特異的CD8陽性T細胞の経時的変化を調べた。樹状細胞投与6日目に各臓器でMHC class IaおよびIb拘束性抗原特異的CD8陽性T細胞数がともにピークとなった。肺では投与9日目には抗原特異的CD8陽性T細胞が著明に減少したが、PECでは投与40日目でも持続してみられた。またペプチド感作樹状細胞投与から6日後にBCGを気道内および腹腔内感染させ脾臓・肺・腹腔内の生菌数測定し比較したところ気道内感染では腹腔内感染と比べて菌の排除が悪かった。 2.マウス脾臓由来樹状細胞にSeV-Tbetを導入し機能解析をおこなった。SeV-Tbet導入脾臓由来樹状細胞では、CD40、CD86、MHCの発現が高まり、コントロールと比較して樹状細胞からのIFN-γ産生が上昇した。またMLRにおいてTbet-SPDCはコントロールと比べてalloreactive T cellをTh1に有意に誘導した。 樹状細胞を用いた結核菌に対する細胞免疫療法について、結核菌抗原感作DC投与により抗原特異的CD8陽性T細胞が誘導され、さらに菌の排除が認められたことからワクチンとしての効果が期待できた。しかし菌の排除の程度は弱いため、別の結核菌抗原との比較やさらに強力に抗原特異的CD8陽性T細胞を誘導することができるスーパ樹状細胞の作製が不可欠であると考えられた。今後、骨髄由来樹状細胞にもSeV-Tbetを導入しその機能解析を行う予定である。
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