研究概要 |
自閉性障害の疾患感受性遺伝子の同定に関しては、以下の研究を行った。1.動物モデルで社会性認知、発達social cognitionと関連すると示唆される報告のある遺伝子群について、患者リンパ球ゲノムでの変異の検出スクリーニングを行った。対象遺伝子は、セクレチン、セクレチン受容体、オキシトシン、VIP受容体1,2、PACAP受容体、である。検体100例において疾患関連変異は同定されなかった。2.FMR1,FMR2遺伝子の三塩基対反復配列異常延長、その他の変異のスクリーニングを行った。FMR1の異常延長が1例に同定された。自閉症群ではFMR1遺伝子は1%程度の原因となることが示された。FMR1はRNA結合活性を有するため、制御系の下流分子群の同定により、新たな自閉症感受性遺伝子候補が選択される可能性を示唆した。3.染色体座位7q31からの候補遺伝子としてWNT16のミスセンス変異が1家系に同定されたことから、WNT16ノックアウトマウスを作成した、今後行動解析の予定である。同領域においてGPR37,GPR85,GRM8の解析を行った。罹患者1名である家系において、GPR85のミスセンス変異を1例に同定した。変異を同定した遺伝子は、各1%であり、自閉症は、感受性遺伝子として多数を持つか、感受性遺伝子の感受性SNPと環境因子との相互作用による発症の可能性が示唆されたため、今後は家系内非罹患者にも同定される同一SNPについても、感受性SNPの可能性を考慮して解析に含む必要がある。3.罹患者のリンパ球でのwhole-genome ecpression arrayをセットアップした。
|