研究課題/領域番号 |
15390333
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
中野 仁雄 九州大学, 理事(教授) (40038766)
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研究分担者 |
佐藤 昌司 九州大学, 大学病院, 講師 (00225947)
福嶋 恒太郎 九州大学, 大学病院, 助手 (40304779)
諸隈 誠一 九州大学, 医学研究院, 学術研究員 (50380639)
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キーワード | 胎児行動 / 学習(馴化、古典的条件付け) / 発達 |
研究概要 |
本研究では1)胎児の学習能を馴化ならびに古典的条件付けの手法を用いて評価すること、2)胎児行動の発達に伴う変化を学習の視点を加えて捉えなおすこと、3)以上から得られた結果をもとに胎児学習能の中枢神経機能評価への応用について検討すること、を目的とした。 これまでに胎児の馴化・脱馴化に関して検討を行い、胎児に学習能があること、胎児中枢神経機能の発達に伴い変化することを証明した。本年度は、純音刺激を条件刺激、振動刺激を無条件刺激として胎児期に古典的条件付けをおこない、さらに高度な学習能が存在するか否かを検討した。 九州大学病院産科婦人科ならびに周産母子センターで妊娠・分娩管理をおこなう症例のうち研究への協力の同意を文書で得られた3例について、おこなった。まず、音刺激はコンピュータ上で作成した純音をスピーカを通して呈示し、超音波断層装置を用いて観察した体動および胎児心拍数を指標とし音圧を105dBと設定した。続いてこの条件を用いて、条件刺激(CS)には周波数500Hzと1000Hzの2種類の純音、無条件刺激(US)には振動刺激(トーイツ社製:TR-30;80Hz,110Gal)を用い、観察項目は胎児期では超音波断層法による胎児の動き(デジタル記録)ならびに心拍数、新生時期には5sec以内の体動・活動量(デジタルビデオ録画し、ピクセル数から分析)及び心電図記録による心拍数の変化を用いた。対照には無条件刺激を伴わない、異なる周波数の純音刺激を用いた。結果としては今回検討したヒト胎児3例では、胎児期に条件付けが行われた所見はえることができなかった。 霊長類(チンパンジー)では条件付けが行われる例があることが報告されており、中枢神経機能発達と学習能の関連の解析において、この種差の原因を検討していく必要があると考えられた。
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