研究課題/領域番号 |
15390333
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
胎児・新生児医学
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
中野 仁雄 九州大学, 理事(教授) (40038766)
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研究分担者 |
佐藤 昌司 九州大学, 大学病院, 講師 (00225947)
福嶋 恒太郎 九州大学, 大学病院, 助手 (40304779)
諸隈 誠一 九州大学, 医学研究院, 学術研究員 (50380639)
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研究期間 (年度) |
2003 – 2004
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キーワード | 胎児学習 / 行動発達 / 中枢神経系機能 / Central Nervous System |
研究概要 |
本研究では1)胎児の学習能を馴化ならびに古典的条件付けの手法を用いて評価すること、2)胎児行動の発達に伴う変化を学習の視点を加えて捉えなおすこと、3)以上から得られた結果をもとに胎児学習能の中枢神経機能評価への応用について検討すること、を目的とした。 対象は、九州大学病院産科婦人科ならびに周産母子センターで妊娠・分娩管理をおこなう症例のうち研究への協力の同意を文書でえられたものとし音・振動刺激を利用して、妊娠32週以降の任意に抽出した正常胎児の行動発達評価とともに、胎児学習能の有無およびその行動発達との関連について検討した。ついで純音刺激を条件刺激、振動刺激を無条件刺激として胎児期に古典的条件付けをおこない、その成否を体動・心拍数変動を反応の指標として検討した。その結果、妊娠32週以降の胎児は馴化の能力を有すること、馴化の様式は妊娠週数よりも他の指標から判定される行動の発達段階と連関していることがわかった。またヒト胎児においては、少なくとも今回検討した3例では、古典的条件付けは成立しなかった。 以上の結果から、胎児の学習能は新たな中枢神経機能発達の評価方法となりうることが示唆された。一方、今回用いた刺激方法では妊娠32週以前の胎児の反応のばらつきが大きいこと、反応の指標として胎動を用いた場合には定量的な評価が困難であることが問題点として抽出された。病的胎児における馴化の評価と、上記の問題点を解決する刺激方法開発が、今後の課題といえる。 また本研究の結果から、ヒト胎児では、同じ妊娠週数であっても、その発達に個体差が存在することが明らかとなった。この個体差が生理的なものなのか病的なものなのかを明らかにし、区別していく必要があると考えられる。すなわち、ヒト胎児の発達を連続かつ線形の事象としてとらえる尺度としては現段階の指標は不適切であり、今後はその開発が不可欠であると考えられた。
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