経皮HIV侵入メカニズムを解明するための全層皮膚を用いた新規経皮HIV感染モデルを確立し、現在までに以下の結果が得られている。1)PSC-RANTESを経表皮的にHIV曝露前に処理すると、skin emigrantsからT細胞へのHIV播種は完全に抑制されたが、CLR inhibitorであるmannanでは抑制効果は認められなかった。2)skin emigrantsには、HLA-DR^+CD1a^+Langerin^+のLC、HLA-DR^+CD1a^+DC-SIGN-のdermal DC、HLA-DR^+CD1a^+-DC-SIGN^+のdermal DCの3種類のDC群が含まれていた。3)HIV曝露3日後のskin emigrantsを抗HIVp24抗体にて細胞内染色したところ、skin emigrants中のHLA-DR^+Langerin^+LCのみに約5%のHIVp24陽性感染細胞が認められた。4)viral replicationによりEGFPを発現するHIVであるNLCSFV3EGFPとNL43EGFPをこの系において経表皮的に曝露したところ、前者を曝露した場合のみに混合培養内にEGFP陽性細胞が認められた。5)この混合培養をさらにFACSにて解析すると、HLA-DR^+Langerin^+LC中に、R5HIV-EGFPを曝露した場合のみEGFP陽性細胞が同定されたが、X4HIV-EGFPの曝露ではEGFP陽性細胞は認められなかった。6)HIV曝露後皮膚からskin emigrantsをあらかじめPKHにて標識した後にT細胞と培養したところ、PKH^+EGFP^+細胞に隣接してEGFPを強発現するT細胞が観察された。 これらの結果から、経表皮的HIV曝露後皮膚からのskin emigrantsからT細胞へのHIV播種はCCR5を介したLCの感染が重要であることが示唆された。
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