研究課題/領域番号 |
15390348
|
研究機関 | 日本医科大学 |
研究代表者 |
大久保 善朗 日本医科大学, 大学院・医学研究科, 教授 (20213663)
|
研究分担者 |
須原 哲也 独立行政法人放射線医学総合研究所, 分子イメージング研究センター・分子神経イメージング研究グループ, グループリーダー (90216490)
鈴木 秀典 日本医科大学, 大学院・医学研究科, 教授 (30221328)
川良 徳弘 東京医科歯科大学, 大学院・保健衛生学研究科, 助手 (50234141)
|
キーワード | 統合失調症 / PET / MRI・VBM解析 / fMRI / 神経栄養因子 / 末梢性ベンゾジアゼピン受容体 |
研究概要 |
統合失調症の進行性増悪過程の病態を解明する目的で以下の研究を行なった。すなわち、21歳〜59歳の統合失調症患者80名および22歳〜58歳の健常対照群80名を対象に、MRI・T1強調画像の灰白質体積のVoxel based-morphometryを行った。対照群での世代別比較では年齢の上昇に伴い、左側頭葉の一部さらに両側側頭葉、後頭葉、帯状回で灰白質の体積減少を認めた。これは健常者の加齢に伴う脳形態の変化と考えられる。また、患者群での世代別比較では年齢の上昇に伴い右海馬、側頭葉、大脳基底核で灰白質の体積減少を認めた。これは、対照群とは大きく異なる、すなわち統合失調症特異的な変化である可能性が高い。さらに今年度は男女にわけて年代別に統合失調症群の形態異常について詳しく検討した。その結果、若年では男性統合失調症群でより形態異常が強い性差が明らかであったのが、加齢により女性統合失調症群でも形態異常が大きくなり性差がなくなる結果が得られた。以上の結果を考慮すると、統合失調症患者の脳形態異常の成因を、統合失調症発病前の神経発達障害のみに求めることは困難で、発病前の神経発達障害に加えて、発病後の進行性の変化を想定する二段階の病態モデルを想定することがより適切と思われた。また、末梢性ベンゾジアゼピン(PBZ)受容体のPETリガン[11C]DAA1106を用いて、統合失調症患者5例に対してPET検査を行なった。PBZ受容体はグリア細胞に分布することから、統合失調症の進行性脳形態変化がグリア細胞の変化として捉えられる可能性がある。現在までの検討では、対照群と有意な差を認めなかったが、引き続いて検討予定である。また関連研究として、fMRIを用いて統合失調症の言語認知に関する研究を行なった。
|