研究課題
多数例の統合失調症患者を対象に、男女別、年代別に脳形態変化を調べ、性差について検討した。対象は、統合失調症患者120名、および年齢および性を一致させた健常対照者120名とした。MRI-T1強調画像をSPM2を用いてoptimized voxel-based morphometryを行い、20〜29歳、30〜39歳、40〜49歳の3つの年代で、それぞれ男女別に灰白質体積の比較検討を行った。その結果、すべての年代で、男女ともに統合失調症群において両側島回および両側下前頭回の有意な体積減少を認めた。一方、男性統合失調症群では、すべての年代で両側上側頭回および両側中側島回に灰白質体積の減少を認めたのに対して、女性群では同部位において有意な体積減少を認めなかった。以上より、統合失調症患者の脳形態の変化に関して、男でより脳形態変化が強い性差を認めることが明らかになった。さらに、側頭葉に焦点をもつ症候性部分てんかん患者4名と健常対照5例を対象に、[11C]DAA1106を用いたPET検査を行い、末梢型ベンゾジアゼピン受容体(PBR)の側頭葉/小脳比を調べた。その結果、てんかん群と対照群について有意な群間差を認めなかったものの、てんかん群内では焦点側では非焦点側に対し、側頭葉/小脳比の値がより高い有意差を認めた。以上より、症候性てんかんのてんかん焦点におけるPBR結合の亢進が確かめられ、[11C]DAA1106を用いたPBRイメージングの有用性が確かめられた。そこで、統合失調症の進行性脳形態変化がグリア細胞の変化として捉えられる可能性があると考え、[11C]DAA1106を用いて、統合失調症患者を対象にPET検査を行なった。その結果、健常群と比較して有意な変化を認めなかった。また関連研究としてfMRIを用いて統合失調症の言語認知に関する研究、統合失調症患者の神経栄養因子に関する研究を行なった。
すべて 2006
すべて 雑誌論文 (6件)
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