研究課題/領域番号 |
15390351
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
武田 雅俊 大阪大学, 医学系研究科, 教授 (00179649)
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研究分担者 |
紙野 晃人 大阪大学, 医学系研究科, 助手 (40307955)
工藤 喬 大阪大学, 医学系研究科, 助教授 (10273632)
田中 稔久 大阪大学, 医学系研究科, 講師 (10294068)
谷井 久志 三重大学, 医学部, 講師 (40346200)
大河内 正康 大阪大学, 医学系研究科, 助手 (90335357)
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キーワード | アルツハイマー病 / タウ蛋白 / アポトーシス / タウオパチー / XIAP(X染色体関連アポトーシス阻害蛋白) / 神経原線維変化 / 神経細胞死 |
研究概要 |
アルツハイマー病(AD)の神経原線維変化の主要構成成分として異常リン酸化タウ蛋白がある。我々は今まで神経芽細胞腫にアポトーシスを誘導してタウ蛋白リン酸化レベルを検討したが、カスパーゼの活性化にともなって、PKCδが切断され制御ドメインを失い活性化し、グリコーゲンシンターゼキナーゼー3(GSK-3)をリン酸化してこれを抑制することによって、タウ蛋白はむしろ脱リン酸化し、このとき併せてカスパーゼ阻害剤を添加しておくとタウ蛋白はリン酸化亢進することを発見した。この結果は、カスパーゼの一方的な活性化はADにおいて豊富に認められる異常リン酸化タウ蛋白の存在と著しく矛盾するが、カスパーゼの活性化メカニズムが全くないということも考えにくい。このことより我々はリン酸化タウ蛋白が豊富に認められるADには、カスパーゼの活性化と同時に内因性のカスパーゼ阻害因子が存在する可能性があるものと考え、内因性カスパーゼ阻害因子XIAP(X-chromosome linked Inhibitor of Apoptosis)に関して検討をおこなった。XIAPは神経細胞を含めて多くの組織に発現する蛋白であり、caspase-9とcaspase-3の両方の酵素活性を抑制することが報告されている まず、タウ蛋白を発現するCOS7細胞にアポトーシスを誘導するとタウ蛋白の脱リン酸化を認めたが、この細胞にXIAPを共発現させると細胞中のタウ蛋白はリン酸化レベルの亢進した。次に、AD脳におけるXIAPの発現は増加していた。そして、タウ蛋白とのXIAPとの関係については、タウ蛋白N末端のmethionineが切断されると両者は結合することが判明した。以上のことより、XIAPがAD脳における変性過程において重要な関わりを持つことが示唆された。
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