研究課題
放射線により生じるDNA2本鎖切断は非相同的末端結合機構と相同的組換えにより修復される。ヒトの細胞おいて主に非相同的末端再結合機構によりDNA2本鎖切断が修復されていることを明らかにした。これまでに、PI3-キナーゼ阻害剤の1つwortmanninが非相同的末端結合機構の最初のステップであるDNA依存性プロテインキナーゼ(DNA-PK)活性と放射線高感受性遺伝病ataxia-telangiectasiaの原因遺伝子ATMの活性を阻害して、癌の放射線感受性を高めることを報告した。さらに、S化1本鎖DNAとその構造的類似物質suraminがDNA-PK活性を阻害し、放射線によるDNA2重鎖切断の修復を阻害することを報告した。本研究では、suraminが放射線感受性に与える影響とその機序を検討し、臨床適応可能なDNA2本鎖切断修復阻害剤・放射線増感剤であるかどうか検討行っている。suraminが放射線感受性を高めることを報告したが、その作用機序をさらに検討するためにsuraminが紫外線感受性を高めるかどうかを調べた。ヒト培養線維芽細胞LM217ではsuraminは紫外線に対して細胞を抵抗性にし、ヒト乳癌細胞MDA-MB-467ではsuraminは紫外線に対しる感受性に影響を与えなかった。また、DNA-PKを構成する蛋白質量に与える影響では、suraminはKu70、Ku80蛋白質量に影響を及ぼさなかったが、DNA-PKcsの蛋白質量を増加させた。suraminを培養液に添加することにより、細胞のDNA-PK活性は抑制された。これらの事から、suraminはDNA-PK活性を抑制することにより細胞の放射線感受性を高めているものと考えられる。
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