研究概要 |
液晶モニタの基礎的検討からは、液晶モニタのモードの中で高精細ディスプレイであり、かつ視野角特性が優れていることでIPS(In-plane Switching)モード、VA(Vertically Aligned)モードが画像診断用として現段階では最も適していることがわかった。液晶モニタの輝度劣化はCRTモニタに比べるとその時間ははるかに緩やかであるが連続10,000時間になると初期値の70-80%に輝度が低下することがわかった。輝度安定化回路が組み込まれているモニタでは10,000時間でも初期の輝度は担保される。モニタ画像診断におけるモニタの輝度と部屋の照明とが診断能に与える影響を液晶ディスプレイとCRTディスプレイとで比較すると液晶ディスプレイは、低いコントラストの標的を観察するにはCRTモニタより優れおり,CRTモニタの代用として使用できる。室内照度の影響は有意ではなく,明るい照明下でも液晶ディスプレイは使用できることが示唆された。液晶モニタの診断能に関してはROC解析を行ったが、2000本系の高精細CRTモニタと比べても1M、2M、3M、5Mいずれの液晶モニタでもROC解析上有意差はなく臨床に使用することに問題はないことがわかった。すなわち画像診断(マンモグラフィーを除く)において、液晶モニタはCRTモニタに代替可能であるといえる。マンモグラムのモニタ表示に関しては乳腺非触知石灰化病変の診断マンモグラフィでは、3M液晶モニタ観察に起因する読影精度の低下は見られなかった。これらの研究結果からCRTモニタの輝度劣化判定のためのテスト画像(臨床画像及びコントラストチャート)は液晶モニタの輝度劣化判定にも適用できることが結論付けられた。
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