研究課題
ポジトロンエミッショントモグラフィー(PET)は生体の機能を高い精度で画像化できるため、研究や臨床に広く用いられている。臨床PETにおいては確実な診断に加えて患者の測定をできるだけ短時間で多くこなすこと、いわゆる高いスループットが求められる。さらにPET装置の低価格化も重要になっている。現状のPET装置は高いスループットと低価格という要求を満たすことは困難である。これらの問題点を解決するためにPET装置用の新しい検出器の開発を行った。検出器を実現するために"連結型ブロック検出器方式"を用いた。また連結型ブロック検出方式の有効性を実証するために、4ブロックを用いてパネル検出器を構成し、乳癌診断用コインシデンスイメージング装置としての基礎的な性能評価も行った。開発した連結型ブロック検出器は、体軸方向にPMTをシンチレータブロックに対してオーバーラップして配置する。この方式を用いることによりPMTの本数を従来の約半分に減らすことが可能となった。実際の検出器は2.9mmx2.9mmx15mmのGSOを8x8に配置したGSOブロック5個に対して、6本の2回路内蔵型PMTを各GSOブロックに対してオーバーラップして光学結合した構造とした。この検出器の2次元位置ヒストグラムを測定した結果、8x40のマトリクスに配置したGSOをほぼ完全に弁別することができた。また開発した連続型ブロック検出器を4ブロック隣接して配置することにより、パネル型2次元ガンマ線イメージング装置を構成した。単一ガンマ線検出器との間で同時計数を行い、乳癌ファントム等に対して検出能の評価を行った。その結果、1μCi/ccの濃度のポジトロン核種を封入した10mm直径の球形ホットスポットを数十秒でイメージング可能であった。これらの結果より、開発した連結型ブロック検出器は、PET装置用検出器のみならず、乳癌診断用等のコインシデンスイメージング装置にも有用であることを実証できた。
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IEEE Transactions on Nuclear Science (印刷中)