| 研究概要 |
1:大腸癌リンパ節転移における腫瘍細胞のCD44発現とリガンドであるヒアルロン酸との相互作用について解析した。ヌードマウス同所移植で、CD44強発現株であるLS174T、LS174T-NEOは90%のリンパ節転移形成率を示し、CD44無発現株であるLS174T-AS2(antisense CD44遺伝子導入株)、Colo320はリンパ節転移を形成しなかった。リンパ管免疫染色では、LS174T-NEOで高度リンパ管侵襲像が観察されたが、LS174T-AS2、Colo320ではほとんど認めなかった。LS174T、LS174T-NEOは正常リンパ節に対して著明な接着を認め、この接着はヒアルロニダーゼ処理で抑制された。一方LS174T-AS2は、リンパ節に対する接着性が有意に低下していた。
2:ヒト大腸癌細胞株23種のin vivoでのリンパ節転移能を評価し、転移能に相関(逆相関)する遺伝子群をcDNA microarrayにより抽出することで、転移関連遺伝子群の検索と解析を行った。23種の大腸癌細胞株について、ヌードマウス同所移植でリンパ節転移能を検討したところ、KM12c 100.0%(7/7),CloneA 100.0%(9/9),HT29 94.4%(17/18)からSW1116 25.0%(2/8),DLD10.0%(0/13)まで種々の転移率を認めた。in vivoでのリンパ節転移率から、細胞株を高転移群、中間群、低転移群の3群に分け、各細胞株のcDNA microarray結果からリンパ節転移に強く相関(逆相関)する遺伝子として107遺伝子が抽出された。一部の候補遺伝子は、real-time RT-PCRで発現の差を確認し、更に大腸癌組織においても発現の差を確認したところ、satgeIIとstageIIIで有意に発現に差のある遺伝子が認められた。
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