研究概要 |
(1)放射光を用いた冠動脈攣縮の研究 ラットのランゲンドルフ灌流で、電位依存性Kチャネル阻害剤4-ainopyridine(4-AP)は冠攣縮を高率に誘発した。卵摘ラットは非卵摘ラットより冠攣縮は多く、雌性は雄性より冠攣縮からの回復が遅延した。エストロゲンの慢性、急性減少はいずれも冠攣縮の危険因子であった。eNOS阻害剤(L-NNA)で冠攣縮を誘発すると有意にびまん性冠攣縮の形状を示した。4-AP負荷では局所冠攣縮が多くみられた。血管造影上の攣縮形態の違いにより、冠攣縮の病因を推定することができる可能性が示された。 (2)冠動脈新生血管の放射光血管造影による評価 ラットの左冠動脈を結紮し、対象群とG-CSF投与群(100μg/kg)の2群に分けた。G-CSF投与群では、虚血中心部に向かう側副血行の増加が有意に示された。 (3)放射光血管造影を用いた下肢末梢血管新生血管の評価 ラットの左大腿動脈を結紮し、造影までの期間により対象群、結紮1,7,14,28,56日後に分けた。血管数は28日後まで増加したが、その後の変化はなかった。毛細血管の評価では、結紮7日後から有意な増加を示し、血管径により新生時期が異なることが示された。 (4)放射光血管造影を用いた寒冷に対する末梢血管反応の研究 ラット後脚に寒冷スプレーを噴射した。組織温度は60秒後まで低下したが、血管造影では3秒後より対照群に比べて有意に拡張を始め、60秒後では225%まで拡張した。これは通説とは異なる知見であった。 (5)放射光血管造影を用いた喫煙による末梢細動脈急性反応の研究 100μm未満の血管は喫煙により変化を示さなかったが、100〜500μmの細動脈では喫煙により収縮し、終了により血管径は回復した。血管径が大きいほど階層的に喫煙による影響は大であった。また、外因性NOの投与では喫煙による収縮が大きいほどNOによる拡張は大であった。
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