研究分担者 |
錦見 尚道 名古屋大学, 医学部附属病院, 講師 (40242862)
門松 健治 名古屋大学, 大学院・医学系研究科, 助教授 (80204519)
村松 喬 名古屋大学, 大学院・医学系研究科, 教授 (00030891)
小林 昌義 名古屋大学, 医学部附属病院, 助手 (60329381)
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研究概要 |
ミッドカイン(MK)は神経栄養因子活性,腫瘍増殖活性,線溶系亢進能,血管新生能,細胞増殖能,細胞遊走能などをもつ,分子量13kDaのヘパリン結合性分泌蛋白である.今回,我々は初めてバルーン傷害モデルにおいてウサギMKを標的としたアンチセンスODNによる新生内膜形成の抑制効果を検討した。 【方法】1)ウサギMKのクローニング:妊娠14日の日本白色ウサギの胎芽よりRNAを抽出し,塩基配列を確定した.2)アンチセンスODNの設計:ウサギMK mRNAの二次構造予測に基づき,アンチセンスODNを7種類デザインした.3)培養細胞でのアンチセンスODNの効果判定:ウサギ腎臓由来培養細胞(RK13)にリポソーム法を用いてアンチセンスODNをトランスフェクションし,その効果をウエスタンブロティング法で判定した.4)ウサギ動脈バルーン傷害モデルにおけるMKの発現,アンチセンスODN投与によるMK発現の抑制の確認,および組織学的検討:ウサギ動脈バルーン傷害モデルにおいて,MKの発現を確認し,さらにリポソーム法にてアンチセンス、センスODNをそれぞれトランスフェクションし,MKの発現および新生内膜形成の抑制効果について検討した。【結果】作成したアンチセンスODNのうち,RK13細胞においてMKの発現を抑制させるものが2種類存在した.ウサギ動脈バルーン傷害モデルでの検討では7〜14日目をピークにMKの発現を認めた.アンチセンスODN投与によりMKの発現は25%に抑制され,さらに新生内膜形成が63%に抑制されることか確認された. 【まとめ】MKは新生内膜形成において重要な役割を占めており,その発現を抑制するアンチセンスODNの投与により,術後再狭窄予防への新しい治療戦略として臨床応用が期待できる.
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