研究概要 |
肝切除症例からの肝細胞分離が可能であることを確認し、さらに非実質細胞分画に存在するsmall hepatocyteを三高らの方法に準じて分離培養しその性状を解析し我々の細胞バンキングへの応用の可能性を検討した。また分離肝細胞に至適な凍結保存液の組成を検討した。さらにHVJ-envelope vectorによる肝細胞への遺伝子導入効率を検討し、今後の遺伝子治療の可能性を検討した。 1)成熟肝細胞およびsmall hepatocyteの分離 コラゲナーゼ消化した肝組織をfiltrationし細胞懸濁液を50xgにて遠心分離。肝細胞は沈殿するが上清(非実質画分)中に存在するsmall hepatocyteを分離培養した。 結果:3ヶ月に渡り増殖する小型の肝細胞を認め、上清中のα1アンチトリプシンの持続的な産生を確認した。 2)分離肝細胞の至適凍結保存液の組成の検討 a)Cell banker, b)10%DMSO+UW, c)10%DMSO+10%FBS+UW, d)10%DMSO+FBS, e)UWの5種の組成に関し検討を行った。 結果:10%DMSO+UWにて60%弱のviabilityを保持しうることが確認された。ただし接着性が減弱しておりこれは細胞膜表面のintegrityに障害があるものと考えられた。 3)HVJ-envelope vectorによる肝細胞への遺伝子導入 昨年度に引き続き遺伝子導入効率の検討を行った。まず基礎実験として従来型のHVJ-liposomeのラットおよびブタ肝への遺伝子導入効率を再検討。その結果を踏まえHVJ-envelope vectorによる遺伝子導入効率をbacterial LacZ遺伝子およびLuciferase遺伝子をマーカーとして解析した。組織学的障害性の確認。血液生化学的所見の推移も検討した。 結果:肝被膜下直接投与にて高効率な導入効率を認めた。組織学的に他臓器障害は認めなかった。
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