研究課題/領域番号 |
15390382
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研究種目 |
基盤研究(B)
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研究機関 | 奈良県立医科大学 |
研究代表者 |
中島 祥介 奈良県立医科大学, 医学部, 教授 (00142381)
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研究分担者 |
中 宏之 奈良県立医科大学, 医学部, 助手 (40281761)
大橋 一夫 奈良県立医科大学, 医学部, 助手 (40364062)
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キーワード | 肝細胞移植 / ティッシュエンジニアリング / 肝疾患 / 細胞外マトリックス / レンテウィルスベクター / 遺伝子治療 |
研究概要 |
生体内において第二の肝組織を作製することにより新たな肝疾患治療法の開発を行うことを最終目的として、平成15年度は、肝細胞を皮下に移植した場合に移植細胞の長期生者を獲得することを目標とした。マウスより成熟肝細胞を分離し、同系マウスの皮下に単純に移植する実験を行ったところ、肝細胞の生着率は移植後50日で5%以下と極めて不良であった。細胞生着の改善を目的に、ラミニン、typeIV collagenに富む細胞外マトリックス成分を移植肝細胞に供給したところ、50日において約20%と生着率は著明に向上した。このことから、肝細胞の肝臓外における生着には、細胞外マトリックス成分が重要であることが明らかとなった。我々は、さらなる長期安定生着を目指し、皮下移植予定部位に血管ネットワークを構築することを試みた。具体的には、血管誘導因子の徐放システムとして、ポリ乳酸にacidic FGFと因子安定化剤としてのヘパリンを包埋したマイクロスフェアーズを作製し、マウス皮下での血管誘導実験において両製剤の適含有濃度を決定した。このマイクロスフェアーズを用い、移植前に皮下において血管ネットワークを構築した後に、細胞外マトリックスと共に肝細胞を移植することにより、はぼ100%の生着率が100日を超える期間で可能となった。この長期生着細胞は、肝細胞としての形態を保ち、細胞周囲に十分な血管構造を伴っていることから、肝組織を形成していることを確認した。 また、平成16年度で予定している遺伝子導入肝細胞移植による組織作製よりその治療実験に向けて、血友病第9因子を産生するレンチウイスルベクター(LV-chAAT-hFIXR(+)W(+)および(LV-chAAT-hFIXR(+)W(+)IgkMAR)を作製し、培養下肝細胞における至適遺伝子導入条件を設定した。
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