研究課題
基盤研究(B)
本研究課題は将来の臨床応用に繋がるより高い虚血耐性能を有する肝細胞の開発を目指し、低酸素環境への肝実質細胞の機能的適応変化に対する分子メカニズムを解明することを目的としてきた。この目的遂行のために、我々はCre-loxpシステムに基づいた遺伝子ターゲティングを行うことで肝細胞特異的に生体内低酸素感受性転写制御因子であるhypoxia inducible factor-1(HIF-1)の機能を欠失させたマウスを確立した。このマウスは肝臓においてサザンブロット解析上約60%以上の割合でHIF-1α遺伝子欠損が認められるにもかかわらず、全身性にHIF-1α遺伝子を欠失させた場合と異なり胎生致死に至らず正常に発生・成長することが確認された。肝湿重量変化は対照群と比較して特に有意な差は認められず、また組織学的な検討では肝小葉構築形成には異常が認められないものの、HIF-1α欠損マウス肝臓において終末肝静脈と終末門脈との血管距離が約50μm延長していることが明らかになった。一方、低酸素刺激によりHIF-1を介して発現誘導が認められる解糖系酵素群の肝小葉内発現パターンに関して特にHIF-1α欠損肝臓で変化が認められないことが免疫組織学的検討により明らかになった。以上の結果より、HIF-1発現は肝臓の発達において基本肝小葉構築形成には必須でないものの肝微小血管構築形成を規定する因子として重要な役割を演じている可能性があると考えられた。さらにHIF-1α欠損肝臓における部分肝切除術後の肝再生過程が対照群と比較して遅延することを見出し、この現象がG1期およびS期サイクリンなどの細胞周期関連蛋白質発現減少を伴った細胞増殖応答低下によるものであることを明らかにしてきた。本研究期間ではHIF-1が肝臓内基本構造および機能発現において重要な役割を演じていることを明らかにすることが出来たが、今後更に詳細な分子メカニズムの解明を行っていく必要があると考えている。
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