研究概要 |
人為的に免疫寛容を導入するための臓器移植実験にはドナー・レシピエントに用いるミニブタのMHC遺伝子の同定と解析が不可欠である。そのた本研究の臓器移植実験に用いるクラウンミニブタのSLA遺伝子の同定とSLA遺伝子純系ミニブタ家系の樹立を目的にクラウンミニブSLA class I,II遺伝子の解析と簡易同定法の確立を行った。SLA class I遺伝子の塩基配列情報をもとにSLA class I発現遺伝子の6座(SLA-1,-2,-3,-6,-7,-8)につて各遺伝子座を特異的に増幅させるためのプライマーを設計した。なおクラウンミニブタSLA class I遺伝子解析のための対照としてメキシカンヘアレスとゲッチンゲン系交雑種の遺伝子解析を行った。全RNAを用い第2、第3エキソンのRT-PCR増幅産物をSBT法により多型性解析を行い、PD-1(SLA-1),PD14(SLA-2),PC1(SLA-3)cDNAクローン、SLA-3遺伝子クローンの塩基配列の同定と同時に、新対立遺伝子を見出した。SLA class II遺伝子はDRB1,DQB遺伝子については第2エキソンのRT-PCRを行いSBT法により塩基配列の決定を行った。SLA class I, I遺伝子の多型性を簡便に同定するためにSBT法による結果からそれぞれの遺伝子の各アリル特異的なプライマーを設計し、SLA-1、-2,-3遺伝子についてはPCR- SSP法、SLA-DRB1,-DQB遺伝子についてはPCR-RFLP法による簡易法を確立した。本法を用い100頭のクラウンミニブタSLA遺伝子の解析を行い6種のハプロタイプを確認すると同時にSLA遺伝子のホモ・ヘテロ組み合わせに基づいた交配により移植実験に享するためのSLA遺伝子純系ミニブタ家系の樹立が可能となった。
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