研究概要 |
国産ミニブタを用いたMHC適合/不適合による臓器移植を行うためSLA class I領域のSLA-1(PD-1)遺伝子の第2エキソン,SLA-2(PD14),SLA-3(PC1)遺伝子の第2および第3エキソンを特異的に増幅するプライマーまたSLA class II領域のDRB1,DQB遺伝子の第2エキソンを特異的に増幅するために新たなプライマーを設計しPCR-SSPおよびPCR-RFLP法を用いSLA遺伝子の各alleleとハプロタイプの決定を行った。決定されたSLAタイプに基づきMHC完全不適合(主要組織適合性抗原不適合)およびMHC適合(主要組織適合性抗原適合・マイナー抗原不適合)心移植における、術後の末梢血中の血管内皮前駆細胞および血管平滑筋前駆細胞の細胞数の推移と移植臓器の生着期間との関連について検討した。また、末梢血中の血管内皮前駆細胞および血管平滑筋前駆細胞の細胞数に直接関係すると考えられる骨髄における血管内皮前駆細胞および血管平滑筋前駆細胞の移植後の推移について検討を行った。その結果として、(1)ミニブタ胸腺からの胸腺上皮細胞、間質細胞の分離・培養法の確定、(2)心移植後経過(心移植9例の検討)における末梢血および骨髄中の血管内皮前駆細胞および血管平滑筋前駆細胞の定量において、MHC適合間心移植においては骨髄中の血管内皮前駆細胞および血管内皮前駆細胞が移植前に比べ一過性に増加するが、MHC完全不適合間心移植においては明らかな増加は見られず、減少する傾向がある事を確認した。
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