研究課題/領域番号 |
15390388
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
嶋村 剛 北海道大学, 大学病院, 助教授 (00333617)
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研究分担者 |
藤堂 省 北海道大学, 大学院・医学研究科, 教授 (60136463)
古川 博之 北海道大学, 大学院・医学研究科, 寄附講座教員 (70292026)
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キーワード | FK779 / 新規免疫抑制剤 / 異種移植 / Tacrolimus / Cyclosporin / Costimulation |
研究概要 |
昨年度は新規ピリミジン代謝阻害薬FK778の免疫抑制効果をイヌ同種アロ腎移植モデルで検討し、その結果を報告した。今年度はもう一つの新規ピリミジン代謝阻害薬であるFK779をtacrolimus(TAC)、cyclosporin(CsA)、CTLA4Ig/CD40Ig組込みアデノウイルスベクター(AdCTLA4Ig/AdCD40Ig)によるB7及びCD154シグナル遮断と併用することで異種移植における急性血管性拒絶反応(AVR)や急性細胞性拒絶反応(ACR)が制御可能か検討した。ハムスターからラットへの異種心移植モデルを用いた。FK779(10mg/kg)は移植前日より8日または30日間、TAC(2.5mg/kg)もしくはCsA(10mg/kg)は移植日からグラフト拒絶まで経口投与した。AdCTLA4Ig及びAdCD40Igは各々移植当日及び2日前に単回静脈投与(10^9PFU)した。無治療及びAdLacZ投与群(control)の移植心正着期間中央値(MGS)は共に3日でAVRによる拒絶であった。TAC、CsA単独投与群及びAdCTLA4Ig/AdCD40Ig群のMGSは全て3日でAVR抑制効果を認めなかった。FK779単独投与群では一時的にAVRを抑えたがMGSは7日であった。FK779とTAC或はCsA併用群ではMGSは各々59.5及び62.5日でcontrol群に比べ正着期間を有意に延長した。FK779とAdCTLA4Ig/AdCD40Ig併用群では全例が長期正着(MSG>100日)しAVR及びACRは完全に抑制された。しかし、長期正着グラフトには病理学的に慢性拒絶反応像を認めた。FK779にTAC/CsAもしくはAdCTLA4Ig/AdCD40Ig遺伝子治療併用でAVR及びACRを有効に抑制し得る。しかし、本免疫抑制療法では慢性拒絶反応に対する更なる治療戦略が必要であると考えられた。
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