胃がんセンチネルリンパ節生検による縮小手術の適応拡大

2003 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 15390390
• 研究機関: 金沢大学
• 研究代表者: 三輪 晃一 金沢大学, 医学系研究科, 教授 (80019968)
• 研究分担者: 二宮 致 金沢大学, 医学部附属病院, 助手 (60345618) ; 西村 元一 金沢大学, 医学部附属病院, 助手 (90208215) ; 藤村 隆 金沢大学, 医学部附属病院, 助手 (50262580)
• キーワード: センチネルリンパ節 / 胃癌 / 直腸癌 / 食道癌 / 縮小手術 / ナビゲーションサージェリー

研究概要

胃癌、直腸癌、食道癌患者で、色素法とRI法の併用でセンチネルリンパ節の同定を行った。
1)胃癌では、術前日胃内視鏡下に99mTcをラベルしたフチン酸を、また術当日は開腹下に胃内視鏡を挿入し、胃癌を取り囲むように胃粘膜下に2%パテントブルーを、0.2ml4カ所に注射し、その癌のリンパ系を描出するIELMを68例におこなった。全例にリンパ流とリンパ節が染色され、成功率は100%であった。リンパ流は、左胃動脈、右胃大網動脈、右胃動脈、左胃大網動脈、後胃動脈の領域に分類された。染色リンパ節は、直ちに採取され迅速組織診断に提出された。染色リンパ節の数は、中央値で6個であった。染色リンパ節に転移なしと診断された63例では、郭清された非染色リンパ節には転移を認めなかった。染色リンパ節に転移を認めた5例ではD2が行われ、他のリンパ節への転移が検索された。従ってsensitivity 100%,specificity 100%,accuracy100%であった。染色リンパ領域の数を見ると、1領域が44%,2領域が43%,3領域が13%で、4領域以上はなかった。
2)直腸癌では脂肪層が厚いため肉眼観察に不向きなためRIのみで検討した。方法は胃癌と同様に、術前日胃内視鏡下に99mTcをラベルしたフチン酸を、癌を取り囲むように粘膜下に0.2ml4カ所に注射し、術中にγ-probeを用いてhot nodeを検索した。計43例に施行したが、深達度が粘膜下層までの症例に限ると、成功率は96%(25/26)であった。1例に偽陰性が認められたため、sensitivity 80%(4/5),specificity 100%(20/20),accuracy 96%(24/25)であった。しかしながら筋層より深い症例では6/17に偽陰性例が認められ、方法の改善が必要と考えられた
3)食道癌に対してはRI法により2例に施行したが、症例が少ないため次年度に検討したい。

研究成果

• [文献書誌] K Miwa, S Kinami, K Taniguchi, S Fushida, T Fujimura, A Nonomura: "Mapping sentinel nodes in patients with early-stage gastric carcinoma"British Journal of Surgery. 90・2. 178-182 (2003)
• [文献書誌] 三輪 晃一, 藤村 隆, 伏田 幸夫, 木南 伸一, 宮下 知治, 鰺坂 秀之: "5.各臓器癌におけるSNNSの現状とその成績 e.胃癌-リンパ流域郭清を伴う縮小切除術-"日本外科学会雑誌. 104・11. 785-788 (2003)
• [文献書誌] Ohta, T, Ninomiya, I, Fujimura, T, Nishimura, G, Miwa, K et al.: "Sentinel lymph node navigation surgery for pancreatic head cancers"Oncology Reports. 10・2. 315-319 (2003)
• [文献書誌] 太田 哲生, 三輪 晃一, 二宮 致, 藤村 隆, 西村 元一・他: "膵癌におけるセンチネルリンパ節navigation surgery"日本臨牀. 61・8. 366-370 (2003)
• [文献書誌] 三輪 晃一, 宮下 知治, 寺田 逸郎, 木南伸一, 伏田 幸夫, 藤村 隆: "胃癌リンパ区域郭清術"手術. 57・13. 1633-1637 (2003)