研究概要 |
本研究の成果により、抗HER-2抗体(Herceptin)は、HER-2陽性癌細胞におけるHER-2エピトープのclass I拘束性抗原呈示をup-regulateし、その結果、HER-2陽性癌細胞のCTL感受性を増強することを証明した。この結果は、HER-2を分子標的とした抗体療法と癌ワクチン療法が相乗効果を発揮することが推定される。一方、手術標本を用いた研究によりHER-2を発現する胃がんは23%、食道癌は35%であることが判明した。そこで、HER-2癌ワクチン療法とHerceptinの併用療法の臨床第I相試験を実施した。胃がん、食道がんの再発例(他治療無効例)で、腫瘍がHER-2を発現し、HLA-A2あるいはHLA-A24陽性である6例を対象とした。その結果、画像診断上2例にPR、1例にSD,3例がPDであった。6例全例において、併用療法後に、Elipost, tetramer assayともにHER-2抗原に対する免疫反応が増強していた。この現象は、以前のワクチン単独療法よりも、明らかに抗原特異的免疫反応が増強しており、抗体療法と癌ワクチン療法の相乗効果を示す重要な知見と言えた。
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