研究概要 |
平成16年度研究概要 (1)微量癌細胞診断の臨床的意義の検討を行っているが、当初の目標数(500例)を大きく越え1714例の症例を集積した。このうち食道癌は150例である。末梢血・骨髄における微量癌存在診断をCEA、cytokeratin7を用いて行っている。研究開始から2年であるため、観察期間が短く予後を含めた臨床的諸事項との関わりについては現在解析終了時には結果をまとめる予定である。 (2)未知の食道癌関連遺伝子を探索する目的でラット化学多段階発癌モテルを用いたDNAマイクロアレイ解析はほぼ終了し、発癌過程で発現が上昇する遺伝子としてrat gelatinase A (MMP2)、keratin 6a、Lyn B tyrosine kinaseなどが抽出され、また減少する遣伝子としてALDH、SLPI遺伝子などが抽出された。この研究の成果は平成17年1月にCancer Res誌に報告した(Nishida K. et al、65:401-409、2005) (3)放射線治療・感受性マーカーの同定のため、術前生検サンプルを用いてDNAマイクロアレイ解析を現在行っている。当初得られたマーカーHDGF以外にLMD・DNA microarray法を用いた実験系にて、SPP1,CKS2等々の遺伝子が抽出され、現在その臨床的意義を解析中である。 (4)癌関連遺伝子についてはMAL、FHITについて遺伝子導入実験を行っておりそのカスケードの解析を進めている。 LMDとDNAマイクロアレイを用いた食道癌遺伝子発現プロフィルの解析:食道癌36サンプルについてLMDを施行、良好なRNAを回収した。このうち16サンプルについてオリゴDNAマイクロアレイ実験を完了。CCT5,STMN1,NDUFB92等の進行度に応じて上昇する遣伝子を5種類、低下する遣伝子を1種類抽出した。特に食道癌のリンパ節転移に関連する遣伝子群として研究を発展させている。
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