研究概要 |
本年度はMGMTおよびhMLH1の発現パターンを感受性マーカーとした至適抗癌剤の選択に関する研究を押し進めた。まず、胆道癌細胞株を用いたin vitro実験において、MGMT(-),hMLH1(+)を示す胆道癌がアルキル化抗癌剤に高感受性を示すことを立証し論文投稿した。また、シスプラチン(CDDP)はMGMT(+)細胞株に対し、転写抑制機序によりMGMTの発現を抑えることを明らかにした。これはCDDPがMGMT抑制作用を介し、MGMT発現が保持された癌に対し、アルキル化抗癌剤への感受性を獲得させるという新規moduration therapyの可能性を示唆する結果であり、論文発表した(Oncology reports 2005 in press).これらのin vitro解析によりMGMTおよびhMLH1発現のパターンに基づいた至適抗癌剤選択をさらに細分化した。 一方、臨床への応用にむけ胆道癌、肝臓癌、胃癌、大腸癌手術標本のMGMT, hMLH1メチル化解析をプロスペクテイブに押し進めている。MGMT, hMLH1のメチル化頻度は各臓器でそれぞれ30-50%程度認められ、in vitro研究での結果を踏まえた個別化抗癌剤治療の実践準備が整いつつある。さらなるデータの蓄積を行っていく予定である。
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